第23話 ヘンタイハイスペックDT

文字数 1,874文字

と、とにかく!おれがこんなむさ苦しい上に虚しい仕事をしてたのもその為の金が必要で、お前と違ってこうして地道に働くしかないの。
カツアゲは地道とは言えないと思うがな。で、そのやりたいことってのは何なんだ。
ふっふっふ……それはねぇ〜、なんと!メイド喫茶をやりたいのだよ!
メイド喫茶って……文化祭の出し物じゃないんだぞ。
も〜、そんなの分かってるって。ちゃんとした店すんの。

で、ただのメイド喫茶じゃなくて、“女装“メイド喫茶なの。どう?惹かれるでしょ?

いや、すまないが俺にそんな性癖はない。惹かれる事はないな。
え〜、うさぎはいいと思うよ。オープンしたら働きたいもん。
おお!さすがうさぎちゃん。ありがとう、うさぎちゃんがいれば絶対いい所まで行けるよ。
ほんと!?まあそんなの分かってるけどお兄ちゃんに言われると嬉しいなぁ…。うさぎ、私生活からおち○ち○までお兄ちゃんにいっぱいご奉仕するね。
いや、そういう店じゃないし。個人的な奉仕は求めてない。
ええ〜〜いじわる!うさぎお兄ちゃん以外に奉仕なんてしたくなーい!
というか、そもそもうさぎさんは働けなくないですか?…女の子なんだし。
……。
……。
って、何ですかその目は。固まらないで下さいよ。おい、その変な顔をやめろ。
いや、だってさぁ面白くて……ぷぷっ、うさぎちゃんすごすぎじゃない?
えへへ〜、なんたって性別うさぎだもん!でも、気分いいわね。
その反応…まさか…いや、そんなはず……うさぎさん、スカートの中を見せて下さいませんか。
なっ…なっ……ばかーーー!!!変態!!!!うさぎのスカートの中を見せるのはお兄ちゃんだけだもーーーん!!
ごふぉぉ!!!!!!
そう言ってうさぎは榊の股間を蹴り上げて走り去って行った。その顔は朱に染まっていて、公然とした態度のセクハラには慣れていないうさぎなのだった。

男にとって急所のソレを蹴られたのは初めてで、榊は痛さに悶絶していた。

うわぁ…痛そう。大丈夫?
大丈夫…じゃない。何もあんなに遠慮なく蹴らなくてもいいだろう…一瞬走馬灯が駆け巡ったぞ…三途の河が見えた…まりんが俺を呼んでいる…。
まりんって誰だよ。
まりんは…ひょんな事から悪の組織と戦うことになった、ダークサイドに支配された世界から人々を救う愛と勇気の華麗なる魔法少女で……
アニメかよ!絶対そっち行っちゃダメだから!

……なあみずき。
ん?どうしたの。あ、不能になったかもしれないって?それならおれが見てあげーー
いらん!そうじゃなくて、察するにうさぎさんは男…なんだよな
そうだね、普通の人は気付かないレベルの可愛さだと思うよ。その原因がおれなのが複雑なんだよねぇ…。中学生だった時、普通の大人しい地味な男の子だったのに、相当努力したんだろうなぁ。
チッ…イラつくからお前たちの馴れ初めはいい。
へ〜、なるほどね〜。うさぎちゃんの事好きなんだ。んー…うん、お似合いだと思うよ。変態下僕とワガママ女王様って感じで。
お前まで俺を変態扱いするな、俺が変態なら真の変態の方達に失礼だ。ちょっと周りが見えなくなってしまう程度だと思う。
あははっ、気取ってるお前より今のお前の方が断然好きだなぁ、何か可愛いし。
可愛いとか気色悪い事言わないでくれ、総毛だった。…で、だな、その……お前が言っていたメイド喫茶だが、手を貸してやらんでもない。
えっ、ウッソマジで!?じゃあそんなにお金貯めなくてもいいね。今すぐにでも始められそうじゃーん。
は?何を言っている。大学は卒業しろ、話はそれからだ。じゃないと金は一円も出さん。
えー…あと2年もあるんだけど。

はぁ…まぁいいか、最低限の単位取って適当に遊ぼーっと!

ただし、半分は出せ。あと、うさぎさんを雇う事を約束しろ。いいな?
はいはーい、ったく…相変わらず母親みたいに口うるさいな。おまけに童貞の変態であとオタクだっけ?
前半2つは聞き慣れてしまったからこの際置いておく…が、俺はオタクじゃない、魔法少女アニメ好きなだけだ。
ふーん…じゃあその魔法少女のまりん?が目の前に現れて付き合ってって言ったらどうするの?
は?頭は大丈夫か?まりんは2次元だから目の前に現れるわけがないだろう。2次元と現実の区別が付いていないのか?
うるさいなぁ!例えだよ!あーもう、めんどくさいなぁ
逆ギレとは…やれやれ。これだからカルシウムの足りない単細胞の元ヤンは。
……殴っていいか?つーか尻出せ、突っ込んでやるよ。
嫌ですよ。後ろも出来るならうさぎさんに捧げると決めたんで。
うわっ…無限に鳥肌が立ってきた……。警察に通報しないのに感謝しろよ、マジで。
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