第1話
文字数 616文字
沼の女神ニウベを祀る村の石工ヌウは彼女の熱心な信奉者でした。本業のかたわら、暇さえあればニウベの像ばかり彫っています。
そんなヌウの幼なじみであるプレサは、昔から彼のことが大好きでした。ヌウと結ばれるためならば、偉大なるニウベの怒りを買っても構わないと思い詰めるほどに。
「ヌウ。私はあなたが大好きなの」
「ありがとう。僕もだよ、可愛いプレサ」
ストレートに想いのたけをぶつけてみても、返ってくるのはお決まりのセリフでした。ヌウの言う「プレサ可愛い」とは、愛玩動物 へ向けるものと同等なのです。
一生に一度の覚悟を決めて、衣服を脱ぎ捨て迫ってみても、自分はニウベに誓いを立てているから生身の女性には触れられないとすげなく拒否られる始末。
絶望の更にドン底へと叩き落とされたプレサが、その足でニウベ神殿に突撃し、司祭たちが止めるのも振り切って、恋仇の悪口をわめき散らしながら暴れ回ったその結果――!
当然ながらニウベの怒りを買い、その場で石へと姿を変えられてしまったのでした。
ところが、プレサは嘆き悲しむどころか大喜び。なんと、これが狙いだったのですから。
生身でなくなった自分は今度こそヌウに触れてもらえるし、石にとって無上の喜びである全身像を彫ってももらえることでしょう。石工のヌウにとってはそんなの造作もないことですもの。
そうと決まれば即行動。新生プレサはゴロゴロゴットンと重量級の音を響かせながらヌウの仕事場を目指すのでした。
そんなヌウの幼なじみであるプレサは、昔から彼のことが大好きでした。ヌウと結ばれるためならば、偉大なるニウベの怒りを買っても構わないと思い詰めるほどに。
「ヌウ。私はあなたが大好きなの」
「ありがとう。僕もだよ、可愛いプレサ」
ストレートに想いのたけをぶつけてみても、返ってくるのはお決まりのセリフでした。ヌウの言う「プレサ可愛い」とは、
一生に一度の覚悟を決めて、衣服を脱ぎ捨て迫ってみても、自分はニウベに誓いを立てているから生身の女性には触れられないとすげなく拒否られる始末。
絶望の更にドン底へと叩き落とされたプレサが、その足でニウベ神殿に突撃し、司祭たちが止めるのも振り切って、恋仇の悪口をわめき散らしながら暴れ回ったその結果――!
当然ながらニウベの怒りを買い、その場で石へと姿を変えられてしまったのでした。
ところが、プレサは嘆き悲しむどころか大喜び。なんと、これが狙いだったのですから。
生身でなくなった自分は今度こそヌウに触れてもらえるし、石にとって無上の喜びである全身像を彫ってももらえることでしょう。石工のヌウにとってはそんなの造作もないことですもの。
そうと決まれば即行動。新生プレサはゴロゴロゴットンと重量級の音を響かせながらヌウの仕事場を目指すのでした。