羽を開いて 磨花side

文字数 935文字

私は、弓を扱うのが得意だ。
小さな頃から魔物が怖かった。遠い所から気付かれずに攻撃をしたかった。
そんな私が出会ったのが弓矢。
すぐに使いこなせるようになった。
そして旅に出て、仲間と会って。
亜藍と巧に、不思議な能力が備わった。
亜藍には雷の攻撃能力。
巧には、水の癒し能力。
二人とも、すごく役に立つ能力。
私の故郷、フュウマに行く。
一度特訓をしたい。そう言うと、皆いいよと言ってくれた。
フュウマまでもう少し。なのに……

氷の塊が、なぜか動き出した。
「こいつは……」
亜藍と出会った時の魔物と、動きが同じ。
「氷の魔物を封じ込めた岩か。」
亜藍が冷静に言う。
なんでそんなに冷静なの?私はこいつに出会うのは初めて。
「あいつの弱点は、頭の上の岩。磨花、狙って。」
そうは言っても、大きくてとても狙えない。
あ……近くに崖がある。ある程度登って、飛び降りながらなら狙えそう。
「うまくやれば、5分で終わる。」
―10分後―
ふう……やっと登り切った。さて、飛び降りて羽を広げて、弓を引く!
見事に命中!塊は倒れた。
あれ?皆バテてる。弱いなぁ……。
「お前が崖登り始めるからだよ!」
「5分で終わるんだぞ?10分かかったじゃねーか!」
「一撃で仕留めれたのなんでだと思う?俺らがちまちま体力削ってたからだよ!」
……大ブーイング。
「はい、すみません……」
「分かればよし。」
そしてまたしばらく進むと。
「またか……おい、出てこい。」
亜藍が呟いて、足を止めると同時に指を鳴らした。
地面から出ていた石に見事命中。姿を現した。
また崖登りするか……と思ったけど、『登るなよ?』っていう視線が怖いから、なんとかできないかな……。迷惑はかけたくない。

ヒュウウウウウ

風。上に向かう風。上昇気流だ。
羽を広げて飛ぶ。風に乗る。
気持ちいい……風が頬を撫でる。
爆弾を込めた矢をセットして、弓を引き絞り……狙って……
離した。
矢は風を切って飛んで行く。塊の石に向かって。
当たれ。当たれ!
当たった。岩が崩れ落ちた。
私達は、勝った。5分以内に。

首に重みを感じて見てみると、そこには風の紋章がついた首飾りが。
これね、さっきの上昇気流を生み出した正体は。

そのさらに後……磨花が身に着けた力は〈風姫の誇り〉と呼ばれるようになったことを、まだ4人は知らない……。
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