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文字数 483文字
十二時になる前にはすでに、本日の全行程が終わっていた。
教室には、ワタルのみ。
生徒はまだ十二分に残っていて、好奇心の視線がワタルに刺さる。
もうすっかり慣れたものだ。
長いあいだこの視線にさらされてきた。それが、仕事だから。
ただ、不快だ。今はただの学生で、“タマキ”としてここにいるわけじゃない。
これからずーっとこの視線の中で息をするのかと思うと、息苦しい。
とたん、わっと女子がわく。
席の周りに人の壁が出来た。
席に座ったままだったワタルは、すっかり囲まれてしまった。
けど、ミーハーがすぎるヤツに合わせるつもりもない。