第6話 喧嘩
文字数 723文字
ひとしきり踊ってから私はアーニャとマリアから離れ、マルコスの元へ戻った。マルコスは何をするでも無く退屈そうにカイピリーニャを飲んでいた。
「マルコスは踊らないの?」
「恥ずかしいから踊らない」
「そうなんだ」
私はマルコスと喋ることなく、アーニャとマリアが踊る姿を眺めた。フロアは人で溢れ、皆楽しそうにしている。ここMaxは日系ブラジル人とロシア人女性が多く来ると教えて貰った。
そろそろ何か飲もうと注文をしようとしたその時、怒鳴るようなポルトガル語がカウンター内の男を呼びつけた。騒然とした中、男は迫力ある険しい顔でカウンターを飛び越えドアへと走った。
今度は何なのという好奇心で、私は男の後を追い入り口外へと出た。
「喧嘩だ」
何時の間にか背後にいるマルコスが言った。よく見るとドア前の狭い空間には野次馬が群がっている。その中央では日系人らしい女同士が、頬を叩きあい、肩を小突き早口で怒鳴りあっている。
「男の取り合いね」
何時の間にか隣にいるアーニャが囁いた。マリアもいる。
「アーニャはポルトガル語がわかるの?」
「ブラジル人の彼氏がいたから、少しね」
と、小声で教えてくれた。
カウンターの男が喧嘩をしている二人の間に割って入り、大声で叱り始めた。何を言っているのか分からないが、男の睨みで片方の女がそっぽを向き階段をおりて去って行った。残された女はふてくされ腕を組んで立ったままである。
野次馬の皆がゾロゾロと店内へ戻り始めたので私も戻った。
「皆、今の喧嘩の話してる」
「喧嘩早く終わったね」
マルコスとアーニャが喧嘩を話題にお喋りをしている。マリアは無口なままだった。
「マルコスは踊らないの?」
「恥ずかしいから踊らない」
「そうなんだ」
私はマルコスと喋ることなく、アーニャとマリアが踊る姿を眺めた。フロアは人で溢れ、皆楽しそうにしている。ここMaxは日系ブラジル人とロシア人女性が多く来ると教えて貰った。
そろそろ何か飲もうと注文をしようとしたその時、怒鳴るようなポルトガル語がカウンター内の男を呼びつけた。騒然とした中、男は迫力ある険しい顔でカウンターを飛び越えドアへと走った。
今度は何なのという好奇心で、私は男の後を追い入り口外へと出た。
「喧嘩だ」
何時の間にか背後にいるマルコスが言った。よく見るとドア前の狭い空間には野次馬が群がっている。その中央では日系人らしい女同士が、頬を叩きあい、肩を小突き早口で怒鳴りあっている。
「男の取り合いね」
何時の間にか隣にいるアーニャが囁いた。マリアもいる。
「アーニャはポルトガル語がわかるの?」
「ブラジル人の彼氏がいたから、少しね」
と、小声で教えてくれた。
カウンターの男が喧嘩をしている二人の間に割って入り、大声で叱り始めた。何を言っているのか分からないが、男の睨みで片方の女がそっぽを向き階段をおりて去って行った。残された女はふてくされ腕を組んで立ったままである。
野次馬の皆がゾロゾロと店内へ戻り始めたので私も戻った。
「皆、今の喧嘩の話してる」
「喧嘩早く終わったね」
マルコスとアーニャが喧嘩を話題にお喋りをしている。マリアは無口なままだった。