第2話
文字数 1,375文字
後頭部にコツンと何かが当たり、俺は振り返った。
「これ、やるよ。」
そこにいたのは、3年の橘将生(たちばな まさき)先輩だった。
橘先輩は、俺とは全く真逆のタイプの人で、長身で細身だが筋肉質な体格に、整った顔立ち。
言葉数も好きなくて、一見無愛想に見えるが、たまに微笑むとパッと咲いた花みたいに綺麗だと思った。
当然、女子に絶大な人気で、しょっちゅう告白されているが、全て断っていると聞いたことがある。
俺は橘先輩が差し出したブラックコーヒーを受け取ると、先輩はそのまま
「じゃあな」と行ってしまった。
俺は、先輩が見えなくなるまで固まったまま見ていた。
そう、俺はどうやら先輩に恋をしているらしい。
初恋というやつだ。
でも、この恋は決して叶わない。
どんな女の子もフッた先輩が、俺みたいな…いや、まして俺は男だ。
気持ちが悪いとしか思わないだろう。
でも、この気持ちに嘘はない。
だって俺が今学校にいられるのは、どんなおまじないより、先輩がくれるこのコーヒー。
この優しさがあるから。
橘先輩と初めて会ったのは、まだ入学したての頃だった。
俺は入学してすぐに、本庄の「クラスメイト全てのLINEグループをつくる」と言う提案により、携帯番号を聞かれたのだ。
しかし、俺は携帯を訳あって持ってない。
当然持ってないと断った。
しかし、その言葉に本庄は怒りに満ちた表情を浮かべた。
「はぁぁぁあ?
あんた断るならもっとマシな嘘がつけないわけ?
今時、スマホないとかどうよ?
しかもこの私が、あんたみたいな汚い陰キャ野郎に声をかけてやったのに、いい気になるんじゃないわよ!」
般若の様な本庄の顔に、回りのクラスメイト全てがざわついた。
ヒソヒソと陰口が聞こえた。
俺はこの時、今から始まる学校生活がどんな事になるかをその場で分かってしまったのだ。
いてもたってもいられず、俺は廊下に慌てて飛び出した。
この場にいるのが耐えられなくて。
その瞬間、「バン!」と誰かにぶつかって俺とその人は倒れた。
「いたた…すみません。」
俺がそう言ってぶつかった人に目をやった。
長身で細身だが筋肉質な体格に、整った顔立ち。
思わず綺麗だと思った。
俺がポカンとしていると、その人は俺を一瞥すると「ああ、そうか」
と一言言うと、ブラックコーヒーを差し出した。
「これ、やるよ。」
その人は、自分が飲むつもりで買ったはずのブラックコーヒーを俺に渡すと、そのまま立ち去ってしまった。
その後、その人の名前が橘将生と言う事や、学校でかなりモテる事、学区外の中学から来た等を知った。
それから、俺は思った通りの酷い苛めの日々となったが、俺が挫けそうになる度に何故か先輩が通りかかり、ブラックコーヒーを俺にくれるようになったのだ。
俺は、橘先輩にもらったブラックコーヒーを飲み干した。
高校入学前は、ブラックコーヒーが苦手だったが、今ではすっかり飲めるようになった。
それどころか、その苦い味が心にまで染みた。
橘先輩の優しさと、叶わない恋の苦い味。
俺はコーヒーを飲み干すと、空き缶をカバンに入れて廊下を走る。
「ヤバい! 早く帰らないと母さんが危ない!」
そうだ俺は訳あり。
男と言う以前に、橘先輩に…、人に愛される資格も、人を愛する資格もない訳ありなんだ。
下駄箱につく。
上履きをはきかえようと手を伸ばした矢先、封筒が靴と共に落ちた。
下駄箱に、封筒が入っていたのだ。
「これ、やるよ。」
そこにいたのは、3年の橘将生(たちばな まさき)先輩だった。
橘先輩は、俺とは全く真逆のタイプの人で、長身で細身だが筋肉質な体格に、整った顔立ち。
言葉数も好きなくて、一見無愛想に見えるが、たまに微笑むとパッと咲いた花みたいに綺麗だと思った。
当然、女子に絶大な人気で、しょっちゅう告白されているが、全て断っていると聞いたことがある。
俺は橘先輩が差し出したブラックコーヒーを受け取ると、先輩はそのまま
「じゃあな」と行ってしまった。
俺は、先輩が見えなくなるまで固まったまま見ていた。
そう、俺はどうやら先輩に恋をしているらしい。
初恋というやつだ。
でも、この恋は決して叶わない。
どんな女の子もフッた先輩が、俺みたいな…いや、まして俺は男だ。
気持ちが悪いとしか思わないだろう。
でも、この気持ちに嘘はない。
だって俺が今学校にいられるのは、どんなおまじないより、先輩がくれるこのコーヒー。
この優しさがあるから。
橘先輩と初めて会ったのは、まだ入学したての頃だった。
俺は入学してすぐに、本庄の「クラスメイト全てのLINEグループをつくる」と言う提案により、携帯番号を聞かれたのだ。
しかし、俺は携帯を訳あって持ってない。
当然持ってないと断った。
しかし、その言葉に本庄は怒りに満ちた表情を浮かべた。
「はぁぁぁあ?
あんた断るならもっとマシな嘘がつけないわけ?
今時、スマホないとかどうよ?
しかもこの私が、あんたみたいな汚い陰キャ野郎に声をかけてやったのに、いい気になるんじゃないわよ!」
般若の様な本庄の顔に、回りのクラスメイト全てがざわついた。
ヒソヒソと陰口が聞こえた。
俺はこの時、今から始まる学校生活がどんな事になるかをその場で分かってしまったのだ。
いてもたってもいられず、俺は廊下に慌てて飛び出した。
この場にいるのが耐えられなくて。
その瞬間、「バン!」と誰かにぶつかって俺とその人は倒れた。
「いたた…すみません。」
俺がそう言ってぶつかった人に目をやった。
長身で細身だが筋肉質な体格に、整った顔立ち。
思わず綺麗だと思った。
俺がポカンとしていると、その人は俺を一瞥すると「ああ、そうか」
と一言言うと、ブラックコーヒーを差し出した。
「これ、やるよ。」
その人は、自分が飲むつもりで買ったはずのブラックコーヒーを俺に渡すと、そのまま立ち去ってしまった。
その後、その人の名前が橘将生と言う事や、学校でかなりモテる事、学区外の中学から来た等を知った。
それから、俺は思った通りの酷い苛めの日々となったが、俺が挫けそうになる度に何故か先輩が通りかかり、ブラックコーヒーを俺にくれるようになったのだ。
俺は、橘先輩にもらったブラックコーヒーを飲み干した。
高校入学前は、ブラックコーヒーが苦手だったが、今ではすっかり飲めるようになった。
それどころか、その苦い味が心にまで染みた。
橘先輩の優しさと、叶わない恋の苦い味。
俺はコーヒーを飲み干すと、空き缶をカバンに入れて廊下を走る。
「ヤバい! 早く帰らないと母さんが危ない!」
そうだ俺は訳あり。
男と言う以前に、橘先輩に…、人に愛される資格も、人を愛する資格もない訳ありなんだ。
下駄箱につく。
上履きをはきかえようと手を伸ばした矢先、封筒が靴と共に落ちた。
下駄箱に、封筒が入っていたのだ。