彼女の話①

文字数 475文字

もう終わりにしよう。
 そう言っておきながら、私は白黒つけることができなかった。……いいや、しなかった。
 ずっと、ずるずると、何度も。そうやって引き伸ばしても問題は解決しないし、むしろ解決とは真逆の方向へと向かってしまう。それじゃあ、何の意味もない。

どこかへ行きたい訳ではない。でも、家にも帰りたくない。そう思った私は、冷たい夜風が吹くネオン街を一人で歩いていた。廃れたシャッター街の中にポツンと佇む、ネオンサインが光るバーがあったり、一昔前の曲が平気で外に漏れているカラオケバーがあったり、外には高そうなコートを羽織った綺麗な女性と髪をキメたスーツ姿の男性が一緒に歩いていたりと、まさに夜の街という感じがしていた。
お酒も煙草も、私のストレスを解放してくれる。今日はどこかで呑んで行こうかな。
変な人に声をかけられるのも面倒だし、一人だし、個室とかがいいかな。あんまり度数の高いお酒は悪酔いしちゃうし、明日のことも考えるとそんなに呑まないほうがいいのかも。あぁでも、一人で個室でそんなに呑まないなら楽しくないか。

あれ、私って何が楽しくて生きてたんだっけ。
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