第4話

文字数 259文字

 朱里が跡形もなく消えた時、僕は色々なことを後悔した。彼氏ができたことを悔しがらなかったこと、彼氏と別れたことを喜ばなかったこと。それから、そばに居させてほしいと、彼女に伝えなかったこと。
 気がついたら桜が散っているように、いつの間にか彼女は消えていた。LINEのアカウントも、SNSのアカウントも消えていた。携帯に電話しても、自宅に電話しても繋がらなかった。家族でハワイに引っ越したそうだと、僕の母親は言っていた。
 僕は本当に馬鹿だったと思う。彼女にもらったディズニーランドのお土産は、丸い缶に入ったクッキーだった。
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