第2話

文字数 518文字

彼は性欲が強い。
わたしには、受け止め切れないよ。
だって、今わたし、ギリギリなんだ。
あなたをいつも好きだったから受け入れて、4人も子供ができたんだ。
その間に彼は、ゲージュツにのめり込んで行った。
それで我が家は家計のピンチ。
わたしはパートに出た。  
4人ぶんの食事、4人ぶんのお洗濯。
やってごらんなさいよ。
それなのに彼は、たまにわたしが時間ある時狙ってお尻を撫でに来る。
何を考えてるのかしら?
わたしは彼のその手をぺしんと叩く。
時には「やめろー!」と声を荒げる。
しょんぼりした彼の顔。
かわいいな。
けれど、その時は気づいてなかった。
彼は性欲強いから、それでそんななんだ、って。
彼が、あんなに傷付いてたなんて。
ほんとに思いもよらなかった。 
わたしは良い奥さんだと思ってたんだよ。
彼が生きてく。
生きてくのが苦手なんだ、って、最近わかったけど、遅かったかな?
死にたい、とか、言われないとそんなのわからないよ。
わたしはずっと普通に生きて来たんだから。
彼が言った。
「どうも女性は満腹時に性欲が高まるみたいなんだ。君が満腹な時、尻を撫でたいな」
ああ、わたしだって、そう出来るのなら。
そして、彼はこうも言った。
「逆に男性は空腹の時に性欲が高まるらしいよ」
ん?
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