第5話 画材屋

文字数 1,033文字

 画材屋、それは筆や絵の具や額などが売っている、絵を描くための材料を買える店。

 わりと長く絵を描いていると、絵の具にもこだわってきたりするんですよ。
 この色すき! でも、このメーカーにしかない。
 とか。
 新しく新色でた! ほしい!
 とか。

 ド素人ゆえの背伸びといいますか、なんとなくその色で絵を描いてみたくなる、とか、色に一目ぼれするとか、そういう感覚なのです。

 うちの近くにも小さな画材屋さんがあります。
 そこではやはり品ぞろえが悪いので、大きな画材屋さんに憧れていました。

 一度でいいから、大きな画材屋さんに行ってみたいと。

 でも、私一人ではちょっと行けない距離。
 なので、車で行ける範囲のその店の支店へ行けないかと思ったんです。

 支店を検索したら、やはり車の便がいいところにありました!
 初めていくところですが、父に頼んでみる。

「いいよ」
「やったー」

 ということで、その大きな画材屋の支店へと行くことになりました。

 しかし――、事情によりきっと、もう二度と行けない場所なのです。
 後悔のないように買い物してこよう、と私は大奮発しました。

 当初、数本の絵の具が買えればいいか、と思っていたのですが、二度と行けないかもしれないから12色セットを買おう! パレットも水彩紙もつける。
 これで、もう一生分の絵の具の買い物した、と手が震える思いで買い物しました。
 ちなみに、12色セットの絵の具は、とてもいい絵の具です。素人にはもったいないという。

「ポイントカードつくりますか? 今回の買い物でけっこうポイント溜まりますよ」

 と言われたけど、もう来ることが出来ないかもしれないから「いりません」と答える。
 店員さんは「なんで?」という顔をしていました。

 ドキドキしながら買った絵の具を家でパレットに出していきます。
 つやつやした絵の具がパレットにグラデーションでおさまって行きます。
 (水彩絵の具なので、パレットに出し切って乾かしてつかいます。私はそういう使い方)

 色見本を作って、満足しながら、一枚絵を描きました。

「ああ~しあわせ~!」

 と思っていたら。

 ネットでの情報によると、その画材屋の支店が、ちかくの駅の前にできるっていうじゃないですか。

 大きな買い物してから一週間くらい後に知りました。
 
 あと、一週間で駅前に開店するって!!

 ああ、あのときポイントカード作っておけばよかった!
 後悔しましたが。
 やはり、近くに大きな画材屋ができるのは、うれしいです。
 
 
 
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