第5話

文字数 318文字

 次に意識がはっきりしたとき、最初に見えたのは白い壁だった。やわらかい光と、花の香り。
 ここは……天国かな?

「銀一くん、おはよう!」

 アーちゃんだった。
 どうやら俺は、昇天したわけでも、元の乙女ゲームの世界に戻れたわけでもないらしい。
 アーちゃんは、うっすらと頬を紅潮させ、唇の端を上げて俺を見つめている。

「私の部屋へようこそ。
 銀一くんをお迎えできるなんて夢みたい。
 実をいうと、私、『フリヒロ』のヘビープレイヤーなんだ。
 銀一くんはずっと私の王子様だったから、一緒にいられることになって本当にうれしい」

 こんな綺麗な子が俺を?
 アーちゃんになら喜んで攻略されたい。

「これからよろしく。俺の天使ちゃん」
俺は届かない言葉をそっと囁いた。
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