ぺんさん

文字数 5,363文字

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ここは新宿!超新宿街!ここではイトーヨーカドー、マルゼン、ダイエー等の大小様々なスーパー達が血で血を洗う価格競争を繰り広げていた!領土拡大のために地元商店街を呑み込んだ彼らが次に選んだターゲットは、ほかならぬ動物園の土地だった!パートタイマー達により駆逐されていく動物たち。これに対抗するため、上野動物園が先頭となり、決死隊、動物守護兵団が結成された!サバンナすずめは、その一兵として超新塾外最大勢力、イオンモール内へ侵入していた!
彼女は監視カメラを避けながら、スーパー、惣菜コーナーへと足を運ぶ!その手に握られているのは……おお!なんということだ!あれはパートタイマーの中でも、マスターズと呼ばれる兵長クラスにしか渡されない、半額シール、その原本ではないか!
(よたろーもみやざきも、みんなイオンにやられてしまった。しかし彼らの犠牲のおかげで、この起死回生の切り札、半額シールを手に入れることができた……覚悟しろよイオン!眼にものを見せてやる!大自然の怒りを思い知れ!)
ぺたりぺたり。彼女は惣菜へ半額シールを張っていく。読者の皆さんはご存じないだろうが、半額シールを貼られた惣菜とそうでない惣菜の間には、実に二倍以上の価値の差が出現する!これを利用し、イオンを経営難に陥らせる。それが追い詰められた動物守護兵団の見出した、起死回生の策だった!
(それだけではないぞ!半額シールは二枚、三枚と重ねていくことで、効果が倍増する!そして……今私の目の前には、既に50まい以上のシールが貼られ、価値が一円になった惣菜がある!)
彼女は残った半額シール、その最後の一枚を1円弁当へと伸ばしていく!1円の半分は0.5円。しかしこの世に0.5円などという高価は存在しない!もしもこの弁当をレジへと持っていけば、登録不可能な値段を受け付けたレジシステムは崩壊、イオンだけでなく、全てのスーパーに大打撃を与えることができるだろう。なんという悪魔的な発想!サバンナすずめは、対スーパー戦闘のプロフェッショナルだ!地域の皆さんの食生活を護るイオンは、この一手で崩壊するかと思われた……その時!
「……バリアー」
「!?キャーッ!」
ビカーッ!半額シールが惣菜に触れる直前、惣菜の前に光の壁が現れた!シールは光の壁に弾かれ、逆にさばんなすずめの頬に張り付く!肉体ダメージなし!しかし半額の烙印をおされたサバンナの精神は大きく削れた!
「お前は……大統領なのか?」
よろめくサバンナに近づく影あり!被り物をした彼が身にまとっているのは、スーパーの制服!まずい!パートタイマーだ!サバンナはすぐさま戦闘態勢に入る!
「おい、どうなんだ。それともお前は……アメリカ大統領より偉いのか?アメリカ大統領より偉いから……半額シールを張ってもいいのか?」
(だ、大統領!?何を言っているんだこいつは!やはりパートタイマーにまともな精神を持ったやつは居ない……!見つかった以上対話は無理だ!やるしかない!)
「くまちゃんははちみつがお好き!」
すずめの魔人能力、『ワイルド・ハンド』が発動した!熊の説明を行ったことで、すずめの右腕が凶暴なパンダの右腕に変わった!先手必勝だ!すずめがパートタイマーに飛びかかる!
「大統領より偉いなら……オレのバリアーを!突破できるのか!あああああー!?」
「なっ!回避しない……!?先程の半額シールといい、なにか、不味い!」
「まりもはみどりいろでもこもこ!」
バリアーマンとサバンナが同時に叫ぶ!サバンナの右腕がもこもこのまりもに変わった!同時に、眼前に光の壁が出現!右腕が壁にぶつかる!瞬間、もこもこの気持ち良い感覚がさばんなの頬に走った!
「ちっ。外したか。」
「……!あ、危なかった!この光の壁は奴の言うとおりバリアーになっている!そして受けた攻撃をそのままはんしゃするというわけか!パンダの腕のまま殴っていたら、逆に私がやられていた……あ、危なかった!」
「わかったところで俺のバリアーは無敵だ……問題はねえ……たとえお前がトランプより上手でも……俺のバリアーを超えることはできねえ……俺のバリアーは、無敵なんだぜぇー……!」
血走った眼で宣言するバリアーマン。しかし、すずめはすでに攻略の糸口を見つけていた。サバンナすずめは、対スーパー戦闘のプロフェッショナルなのだ!
「たこさんはあしがおおい!」
ぎゅいいいーん!宣言と同時!サバンナの右腕がタコの足……それも八本揃った物に変わった!
「八本になったからって……偉いのか……?俺のバリアーを!ぶち破れんのかよぉー!」
「破れはしない。だがお前を倒すことはできる!」
タコ足がしなる!バリアーマンのバリアーがそれを弾く!攻撃反射!しかしサバンナにダメージは無し!続けてタコ足がしなる!バリアーマンのバリアーが弾く!しかしサバンナにダメージはない!
「お、俺の反射が……効いていない……!?」
その理由はタコの生態にあった!軟体動物!タコは人とは違い、骨が存在しない。そしてサバンナすずめがタコ足で行っている攻撃は打撃攻撃!他の動物ならばいざしらず、骨が存在しないタコに打撃攻撃はほとんど意味を成さないのだ!勿論本体への反射は攻撃角度をずらすことで巧みに回避している!これによりバリアーの反射を気にせず、連続攻撃が可能!しかも手数は人の倍だ!やがてバリアーの隙間を縫い、タコ足がバリアーマンを捕らえた!
「な、ならば!反射ではなく停止のバリアーだ!バリアーを張る速度は……二、二倍……!」
「タコさんのすばやさをなめるな!八本だぞ!二倍に増えたところで問題などあるものか!」
「黙れ!俺のバリアーは無敵なんだ!それが、タコごときに……おおおおー!」
「バーリバリバリバリバリバリバリバリーッ!」
「ターコタコタコタコタコタコー!」
バリアーマンが防ぎ、さばんなが打つ!サバンナが打ち、バリアーマンが防ぐ!凄まじい攻防!しかし……やはり押されているのはバリアーマンだ!タコ足が何度も体を打ち、バリアーマンを痛めつける!
「ま、まだだ……バリアーは……バリアーは……無敵、なんだ……!」
二度、三度、十度、百度。タコ足がバリアーマンを襲う。だがバリアーマンは倒れない!そして徐々にサバンナとの距離を詰めていく。サバンナは戦慄した!
「それ以上撃たれれば命も危ういと言うのに……!なんという執念!なんという気力だ……!今までのスーパー店員とは違う……!なぜそこまでして戦う、バリアーマン!お前ほどの男!スーパーに忠誠を誓わなくとも生きていけるはずだ!」
「スーパーなど……どうでもいい……!俺は戦場がほしいだけだ……!バリアーが無敵だと証明できる、戦場が……!」
「俺のバリアーは……誰にも……負けないんだ……。」
―――バリアーマンが能力に覚醒めたのは、小学六年生の春だった。
それは、同級生とのゲーム対決の最中だった。
行っていたゲームの名を、CCレモンゲームと言う。
パンパンと手を2回たたき、その後「パワーを溜める(チャージ)」「攻撃(かめはめ波)」「防御(バリア)」を選んで出す。攻撃にはチャージしたパワーを一つ使う。バリア中は無敵だが、チャージ中に攻撃を受ければ敗北という、シンプルなルールのゲームだ。
ある火、バリアーマンはそのゲームで必勝の方法を見つけ出した。バリアーは無敵。つまり、貼り続ければ相手が何をしようと、負けはない。そしてバリアーを貼り続ければ、いつかは相手は根負けし、勝負を辞める。相手からやめるといい始めたのなら、自分の勝ちだ。防御こそかめはめ波を超える最強の攻撃!真理を知ったバリアーマンは、その方法で学年すべての生徒に勝利した。
事件が起きたのは、その翌日だった。再び同級生からCCレモンゲームを挑まれたバリアーマンは、バリアを張り続けた。十回目のチャージをためた、次のターンのこと。相手が、「ビックバンかめはめ波!」と言って、見慣れない構えを取った。次の瞬間、バリアーマンは負けていた。
ビックバンかめはめ波はバリアーを貫通するのだという。知らないルールだった……勿論バリアーマンは抗議した。そんなルールはCCレモンゲームにはないと。だが、クラスメイトの誰も彼の味方をしなかった。全員がグルだった。なおも抗議するバリアーマンに、クラスメイトは言葉ではなく拳を返した。何度も、何度も。そして言った。「認めろよ。バリアーは無敵なんかじゃねえ。暴力には、権力には勝てねえんだよ。」
いやだった。「バリアーは無敵なんだ……!絶対負けないんだ……!」バリアーマンは答えた。バリアーは無敵だ。ビックバンかめはめ波にだって、権力にだって、暴力にだって負けないんだ!それは幼い頃からなんの取り柄もない彼が自分で見つけた答えだったから。なにをされても、譲りたくなかった。同級生達が再び拳を振り上げた。その瞬間、バリアーマンは魔人となった。
同級生のすべてを殺し、駆けつけた大人たちを殺した。その時何処かが、バリアーマンは壊れてしまったのだろう。バリアーマンはそれ以来バリアーが無敵だと証明するために戦いを繰り返し、スーパーの店員になった。
彼はあの時誓った!たとえ敗北しようと、自らの答えは負けないと!たとえ自分が死んでも、バリアーは無敵だと!最後までそう言いきると!殺されてもかまわない!だが自らの答えを取り下げることだけは、自ら戦いから降りることだけは、決してしてはならないと!
「バ、リアアアアアアー!」
「タァアアアアアコォオオオオオー!」
バリアーマンがサバンナの眼前にたどり着いた!しかし猛烈なラッシュは続く!バリアーマンの視界が霞む!だが倒れない!バリアーは、無敵だから。その一心で、バリアーマンは立ち続けた!
(ま、ずい……!タコ足が……!)
サバンナの顔に焦りが浮かぶ。タコは元々水生生物。長期間陸上で使い続けると、干からびてしまうのだ。このままでは自分の右腕が使えなくなってしまう!
(一旦能力を解除する……!そして、再びタコの説明をして足を再生させるしか無い!だが行けるか!この至近距離!)
サバンナは懸念していた。この男のバリアーは確かに強力。しかし、このパートタイマーを超えたパートタイマーが、果たしてバリアだけに頼り切って戦うか!?バリアを攻撃に転用する技術があるのではないか!?そのために近づいてきたのではないのか!?逆転の策が……この男にはあるのではないか!?
(だが……こいつが倒れるまでタコ足はもたない!やるしかない!渾身の一撃ですきをつくり、その瞬間能力を再発動させる!)
「タゴァーッ!」
「バ、ババーッ!」
バリアーマンがのけぞる。サバンナは能力解除!腕が人間のものに変わった。サバンナが口を開く!
「タコハアシガ……!」
能力を発動させようとするサバンナ。しかし、それよりも速く、サバンナの体が宙を舞った。
人間の物に戻った手が、バリアーマンに掴まれていた。同時に服の裾も。バリアーマンはそのままさばんなの右後方に一歩踏み込みだし、体を崩し、足を狩った。柔道で言う、大外刈と呼ばれる技だ。
その投技には、通常のものとは違う点が一つ。普通、大外刈りの際は相手の肘側を掴んだ手は、自らの腰へと付けることで相手の重心を崩すのだが、バリアーマンの大外刈は、動きを小さくし、胸の前に付けるようにして相手の重心を崩していた。
そう、片手を胸の前につけるように!それはまさにバリアーマンの能力発動のトリガーだった!バリアーが貼られる!さばんなの落ちる、その地面の寸前に!
「バリーアアアアッ!」
「ぐああああーっ!」
サバンナはとっさに受け身を取ろうとした。地面の寸前に貼られたバリアーが、そのタイミングをずらした!0コンマ1秒に満たぬ設置の差。しかしそれは、魔人同士の戦いでは致命的な差だった!
尾てい骨骨折。後頭部強打による意識混濁。肺筋膜損傷、及び衝撃による一時的な呼吸困難。魔人と言えど無視できぬダメージがすずめをおそった!意識が途切れかける。だが、雀にも負けれぬ理由がある!いまのすずめの方には、動物たちの未来全てがかかっている!サバンナは吠えた!息を吐く必要すらなかった。気力だけで、すずめはほえた!
23時30分!
ここまで!
「くまさんは……はちみつがおすきーっ!!」
サバンナすずめの右腕が熊に変わった。バリアーマンに向って、その右腕を突き出す!バリアーが、その右腕を阻んだ
「……信じていたぞ……お前ほどの戦士ならば……たとえ傷付いた体でも……攻撃を仕掛けてくると……」
バリアーマンは倒れたすずめに追撃を仕掛けていなかった。代わりに、両腕を胸の前で交差させていた。反射のバリアー。すずめに、熊手の攻撃が、跳ね返る……!
「く、くまぁああああー!」
ドッパァーン!すずめの頭がまるでスイカのように叩き割れた。宙を舞う半額シールを、バリアーマンは掴んだ。
「お前が強い戦士でよかった。お陰で……最後はバリアーで……方をつけられたからな……」
「……半額弁当でも、食べるか……」
弁当をもってレジに向かう途中、バリアーマンもまた倒れた。その顔には満面の笑みが、バリアーのように張り付いていた。
おわり

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登場人物紹介

名前:バリアーマン
性別:男

能力名:『無敵バリアー』
特殊能力:自分の体の近くに無敵のバリアーを張れる能力。
両手を胸の前で交差させることで、あらゆる衝撃・悪影響を反射するバリアを、
片手だけで同じ動きをすることで、あらゆる衝撃・悪影響を停止させるバリアを貼ることができる。
短時間ならば動作から遅延させてのバリアー設置も可能。
バリアは一度にそんな沢山は張れず、力を使うとそのうち消える。


設定:新宿街に住み着く年若き魔人。
バリアーを張れば無敵だという事を証明するため、多くの魔人と戦いを重ねる。
根は善人であり、自らが悪と定めた魔人のみを襲うぞ。
アメリカが嫌いで、いつか核攻撃をバリアーで反射したいと思っている。

相手を倒したい動機:スーパーの半額シールをちょろまかした相手へ制裁を行うため。

名前:サバンナ すずめ
性別:
特殊能力:ワイルドハンズ
動物の特徴を説明する事で、自身の右腕の肘から先をその動物に変化させる能力。
(例:「チーターは瞬間的に時速70kmで走る事ができる」→右腕がチーターに)

設定:
幼い頃、動物園に置き去りにされ動物たちに育てられた野生児。
人語は理解するが動物達が大好きで人間は好きではない。
動物守護兵団(アニマルガーディアンズ)に所属しており、動物達を守る為ならば手段を選ばない。

相手を倒したい理由:
動物守護兵団の命令によるもの。
それが動物たちを守る事と信じている。

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