(六)帰星

文字数 471文字

 しかしやがて桜の木も、無事寿命を迎える時が来る。これは桜の木の魂である、サクラ星人の寿命によるものである。短いものは百年足らず、長いと数百年もつ木もあった。
 では寿命を迎えたサクラ星人たちは、どうなるのか。桜の木が枯れて朽ち果てるに合わせて、そのまま地球の土、大地に眠ってしまうのか?
 否、彼らは故郷の星、桜源郷に帰るのである。

 帰る方法はUFOではない。死すると同時に、桜源郷に瞬間移動するのである。これはかの『星の王子さま』と同様の原理である。
 そして桜源郷に帰還したサクラ星人たちは、しばし魂だけの存在として休息する。その後、再び肉体を伴い誕生する。即ち再生するのである。再生したサクラ星人はそのまま桜源郷で暮らすも良し、希望する者は地球に行くことも出来た。
 一度地球に行ったサクラ星人の多くは、第三惑星人たちの喜ぶ顔が見たいと、再び地球に戻ることを切望した。しかし中には、病気や貧乏や戦争で苦しむ第三惑星人たちの姿を見るのは辛いと、地球行きを敬遠するサクラ星人もいた……。

 長いプロローグはここまでにして、では物語を始めるとしよう。
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