第13話
文字数 3,916文字
エンコ―、
援助交際、
アタシの頭の中をさまざまなフレーズが飛び交う。
そして、
決定的なフレーズがアタシの頭の中に浮かぶ。
ロリコン…
…そう…父はロリコンだったのか?
まさか、父に限ってそんな…
アタシは考える。
我が母、清水ユカリ、40歳、
誰もが羨(うらや)む、ナイスバディの持ち主、
美人で、外見より、十歳以上、若く見えることなんて、ざら…
結婚してるどころか、17歳の高校二年生のアタシの少し離れた姉ぐらいにしか見えない。
今で言う美魔女…
ただし、その中身は元ヤン、
性格は凶暴で、ひとたび怒らすと、もはや誰も手を付けられない、
とんでもない、オンナだ、
まさに外見と中身が、違う人間の典型…
若い頃に、母を気安くナンパしたオトコ数人をぶちのめした話など、武勇伝をアタシは、母から、何度も聞いている。
ナンパした相手も、まさか、モデルのような美人が、そんな性格だなんて、考えもしなかったのだろう。
だが、その母は、父には、いつも尽くしている。
父の前では、母は別人、
ヤンキーのヤ文字もない、
従順で、おとなしい、海外から絶賛される日本女性の鏡だ。
父もまた母の前で、難しい話などすることもなく、いつも母を褒める。
父はルックスがイマイチ、
母は頭がイマイチ、
お互いがない部分を相手に求めている、
補ってる、
それで、うまくいってる、
ベストカップルだ。
ただ、母には、アタシ同様カワイイがない。
美人で背も高く、胸もお尻も大きく、水着になれば、周囲のオトコの目を釘付けにするほどのナイスバディの持ち主にもかかわらず、カワイイがない。
父が濱谷あゆみに走ったのはそれか?
アタシは考える。
アタシや母にない、カワイイを濱谷あゆみは持ってる。
父がエンコ―に走った理由はコレか?
我が家に美女二人がいても、カワイイがないからか?
アタシの中で、やり場のない怒りが込み上げる。
と、同時に、母のことが頭に浮かんだ。
あの母がこの事実を知ったら、どうなる?
あの清水ユカリが、この事実を知って、おとなしくしていられるか?
否、
ありえない、
それは、ライオンに蹴りを入れて、ライオンにその蹴りを入れたヤツを襲うなというようなもの、
アタシは今、ライオン=清水ゆかりに襲われ、血まみれになって、倒れてる父の姿が脳裏に浮かんだ。
もはや、生死すら明らかではない。
アタシはこの戦慄の光景を目の当たりする、手前にいる。
ということは、当然、
母に、
この事実を知らせることはできない。
だが、
アタシに、
この、
秘密は、
重過ぎる(涙)
さて、どうするか?
アタシが路上で考え込んでいる間に、父と濱谷あゆみの姿が消えた、
見失った。
おのれ、
濱谷あゆみ、
ひとが考え事をしてる最中に、姿をくらますとは、
卑怯!
ケンカは、正々堂々と正面からかかって来い!
変な小細工なんかするんじゃねえぞ!
アタシは心の中で叫ぶ。
アレ?
いつも、言ってることと、違うな…
ケンカはルール無用だから、どんな手を使っても構わねえんだ、
とか…
いつも言ってるような…
少し考えたが、
まあいい(笑)
アタシはいつも、自分に都合よく考える人間だ。
今、アタシは父がロリコンかどうか真剣に考え込んでいる最中に、濱谷あゆみの姿が消えた。
これは、ボクシングでも空手でも休憩時間に相手に殴り掛かるようなものだ。
アタシは、
そう見た、
そう睨んだ、
これが答えだ、
これが正しい、
アタシは無理やり、そう思うことにした(笑)
とりあえず、遅刻はしたが、学校に行くことにする。
小坂に意見を聞くためだ。
アタシの手には、あの、
「…いらーしゃーい、若殿様…」
のポスターを握り締めたままだ。
アタシが怒りに震えながら、
ノッシ、ノッシ、
と、まるで、マンモスのように、カラダに力を入れて歩いていると、近くにクルマが止まった。
アタシはそのクルマには、眼中になく、
相変わらず、
ノッシ、ノッシ、
と、歩いていると、
「…ちょっと、そこのキミ…」
と、声がかかった。
アタシは自分のこととは思わなかったので、
その声を無視して歩く。
「…そこの背の高い…美人の女子高生のお嬢さん…」
と、声がかかったので、
ようやく、
アタシのことだとわかって、振り向いた(笑)
そこには、
昨日の、
制服を着た警官が立っていた。
近くに停まったクルマもよく見ると、昨日のミニパトだった。
アタシは、内心、
…ヤバイ!…
と、焦ったが、
素知らぬフリをして、歩き続けることにした。
…こうすりゃ、わかりゃしないさ…
アタシには、自信があった。
だが、その程度で、あの警官の目はごまかせなかった。
「…そこの美人の女子高生…本官を舐めてもらっちゃ、困るよ…」
と、宣言する。
アタシはそれでも、無視して歩いた。
「…そこの美人の女子高生、止まりなさい…」
と、警官が警告、
アタシは無視し続ける。
すると、警官は両手を広げて、アタシの前に立ち塞がった。
「…止まりなさい…」
…万事休す…
アタシは心の中で観念したが、
まだ希望はある。
「…アレ…おまわりさん、アタシになにか用事ですか?…」
アタシは訊く。
アタシは今初めて会ったばかりのような表情をする。
「…キミ…昨日は大変だったんだぞ…」
と、若い警官。
「…昨日って、なんのことですか? アタシ、おまわりさんと会うの、初めてですよ…」
と、アタシ。
「…エッ…初めて…」
と、若い警官が絶句する。
「…おまわりさん、警官の制服を着て、女子高生をナンパしちゃまずいですよ…」
と、アタシは言ってやった。
「…ナンパ?…」
と、若い警官は目が点になる。
「…せめて、その制服を脱いで、声をかけて下さい…」
と、アタシは言って、その場を立ち去ろうとした。
「…ナンパじゃねえよ!…」
と、その若い警官がいきなりキレた。
「…大体、オマエのその手に持ってるのは、なんだ? 昨日のオマエの顔をコラした赤い水着のポスターじゃねえのか?…」
と、若い警官がブチキレて、大声でわめく。
アタシはその警官の言う通りなので、
…どうする?…
と、内心考え込む。
「…違うのか、答えろよ! オマエ!」
若い警官は激高して、口調が一変、チンピラのようになった。
「…オレはな…昨日、オマエのせいで、上司にこってり絞られて、頭に来てんだ…どうしてくれるんだ?…」
と、若い警官。
アタシは、
「…」
と、黙り込んでいると、
その若い警官は止まらなかった。
「…上司に怒られるのが、どんなことか、オマエにわかるか? 査定に響くんだぞ…出世にも響く…下手すりゃ、オレは一生派出所勤務で終わっちまう…」
と、今度は泣きを入れた。
アタシは、
「…それが、どうして、アタシと関係があるんですか?…」
と、言ってやった。
「…関係? …あるに決まってるだろ!…
おおいにある!」
と、若い警官。
「…ちょっと、おまわりさん、いい加減にして下さい…そんなわけのわからないことをアタシのせいにして、おかしいじゃないんですか?…」
「…おかしい? おかしくなんか、ない!…」
と、若い警官が激高!
もはや手が付けられない状態になった。
「オレはまともだ! まともじゃないのはオマエだ…」
と、アタシを指差す。
アタシは内心その通りだ(笑)と、思ったが、それを態度に表すわけにはいかない(笑)
相手が激怒してるのに、自分も同様に激怒するのはマズイ。
この数日、アタシはそれを学んだ(笑)
アタシは一瞬悩んだが、
「…もう、おまわりさんたら、素直じゃないんだから…アタシと付き合いたいなら、最初から、そう言えばいいのに…」
と、甘ったるい声を出した。
途端に若い警官の態度が一変する。
「…付き合う…本官と?…」
「…そう…」
アタシは制服のスカートの端を手でつまんで、少しだけ、パンティが見えるようにする。
若い警官の視線が、アタシのスカートの中に向くのがわかった。
アタシは内心、
「…勝った!…」
と、思った。
アタシのような美人が、パンチラを見せれば、世のオトコどもはすべてスカートの中に視線が向く(笑)
案の定、
アタシの目の前の若い警官が、ヨダレを流さんばかりに、食い入るようにアタシのスカートの中に視線を向けた。
「…この勝負、アタシの勝ちだ!…」
アタシは確信する。
そう思ったとき、
「…いい加減にしろよ、清水…」
と、どこからか、声がかかった。
その声をする方向をアタシは見る。
そこには、ミニパトに乗った、
ユウ
の姿があった。
援助交際、
アタシの頭の中をさまざまなフレーズが飛び交う。
そして、
決定的なフレーズがアタシの頭の中に浮かぶ。
ロリコン…
…そう…父はロリコンだったのか?
まさか、父に限ってそんな…
アタシは考える。
我が母、清水ユカリ、40歳、
誰もが羨(うらや)む、ナイスバディの持ち主、
美人で、外見より、十歳以上、若く見えることなんて、ざら…
結婚してるどころか、17歳の高校二年生のアタシの少し離れた姉ぐらいにしか見えない。
今で言う美魔女…
ただし、その中身は元ヤン、
性格は凶暴で、ひとたび怒らすと、もはや誰も手を付けられない、
とんでもない、オンナだ、
まさに外見と中身が、違う人間の典型…
若い頃に、母を気安くナンパしたオトコ数人をぶちのめした話など、武勇伝をアタシは、母から、何度も聞いている。
ナンパした相手も、まさか、モデルのような美人が、そんな性格だなんて、考えもしなかったのだろう。
だが、その母は、父には、いつも尽くしている。
父の前では、母は別人、
ヤンキーのヤ文字もない、
従順で、おとなしい、海外から絶賛される日本女性の鏡だ。
父もまた母の前で、難しい話などすることもなく、いつも母を褒める。
父はルックスがイマイチ、
母は頭がイマイチ、
お互いがない部分を相手に求めている、
補ってる、
それで、うまくいってる、
ベストカップルだ。
ただ、母には、アタシ同様カワイイがない。
美人で背も高く、胸もお尻も大きく、水着になれば、周囲のオトコの目を釘付けにするほどのナイスバディの持ち主にもかかわらず、カワイイがない。
父が濱谷あゆみに走ったのはそれか?
アタシは考える。
アタシや母にない、カワイイを濱谷あゆみは持ってる。
父がエンコ―に走った理由はコレか?
我が家に美女二人がいても、カワイイがないからか?
アタシの中で、やり場のない怒りが込み上げる。
と、同時に、母のことが頭に浮かんだ。
あの母がこの事実を知ったら、どうなる?
あの清水ユカリが、この事実を知って、おとなしくしていられるか?
否、
ありえない、
それは、ライオンに蹴りを入れて、ライオンにその蹴りを入れたヤツを襲うなというようなもの、
アタシは今、ライオン=清水ゆかりに襲われ、血まみれになって、倒れてる父の姿が脳裏に浮かんだ。
もはや、生死すら明らかではない。
アタシはこの戦慄の光景を目の当たりする、手前にいる。
ということは、当然、
母に、
この事実を知らせることはできない。
だが、
アタシに、
この、
秘密は、
重過ぎる(涙)
さて、どうするか?
アタシが路上で考え込んでいる間に、父と濱谷あゆみの姿が消えた、
見失った。
おのれ、
濱谷あゆみ、
ひとが考え事をしてる最中に、姿をくらますとは、
卑怯!
ケンカは、正々堂々と正面からかかって来い!
変な小細工なんかするんじゃねえぞ!
アタシは心の中で叫ぶ。
アレ?
いつも、言ってることと、違うな…
ケンカはルール無用だから、どんな手を使っても構わねえんだ、
とか…
いつも言ってるような…
少し考えたが、
まあいい(笑)
アタシはいつも、自分に都合よく考える人間だ。
今、アタシは父がロリコンかどうか真剣に考え込んでいる最中に、濱谷あゆみの姿が消えた。
これは、ボクシングでも空手でも休憩時間に相手に殴り掛かるようなものだ。
アタシは、
そう見た、
そう睨んだ、
これが答えだ、
これが正しい、
アタシは無理やり、そう思うことにした(笑)
とりあえず、遅刻はしたが、学校に行くことにする。
小坂に意見を聞くためだ。
アタシの手には、あの、
「…いらーしゃーい、若殿様…」
のポスターを握り締めたままだ。
アタシが怒りに震えながら、
ノッシ、ノッシ、
と、まるで、マンモスのように、カラダに力を入れて歩いていると、近くにクルマが止まった。
アタシはそのクルマには、眼中になく、
相変わらず、
ノッシ、ノッシ、
と、歩いていると、
「…ちょっと、そこのキミ…」
と、声がかかった。
アタシは自分のこととは思わなかったので、
その声を無視して歩く。
「…そこの背の高い…美人の女子高生のお嬢さん…」
と、声がかかったので、
ようやく、
アタシのことだとわかって、振り向いた(笑)
そこには、
昨日の、
制服を着た警官が立っていた。
近くに停まったクルマもよく見ると、昨日のミニパトだった。
アタシは、内心、
…ヤバイ!…
と、焦ったが、
素知らぬフリをして、歩き続けることにした。
…こうすりゃ、わかりゃしないさ…
アタシには、自信があった。
だが、その程度で、あの警官の目はごまかせなかった。
「…そこの美人の女子高生…本官を舐めてもらっちゃ、困るよ…」
と、宣言する。
アタシはそれでも、無視して歩いた。
「…そこの美人の女子高生、止まりなさい…」
と、警官が警告、
アタシは無視し続ける。
すると、警官は両手を広げて、アタシの前に立ち塞がった。
「…止まりなさい…」
…万事休す…
アタシは心の中で観念したが、
まだ希望はある。
「…アレ…おまわりさん、アタシになにか用事ですか?…」
アタシは訊く。
アタシは今初めて会ったばかりのような表情をする。
「…キミ…昨日は大変だったんだぞ…」
と、若い警官。
「…昨日って、なんのことですか? アタシ、おまわりさんと会うの、初めてですよ…」
と、アタシ。
「…エッ…初めて…」
と、若い警官が絶句する。
「…おまわりさん、警官の制服を着て、女子高生をナンパしちゃまずいですよ…」
と、アタシは言ってやった。
「…ナンパ?…」
と、若い警官は目が点になる。
「…せめて、その制服を脱いで、声をかけて下さい…」
と、アタシは言って、その場を立ち去ろうとした。
「…ナンパじゃねえよ!…」
と、その若い警官がいきなりキレた。
「…大体、オマエのその手に持ってるのは、なんだ? 昨日のオマエの顔をコラした赤い水着のポスターじゃねえのか?…」
と、若い警官がブチキレて、大声でわめく。
アタシはその警官の言う通りなので、
…どうする?…
と、内心考え込む。
「…違うのか、答えろよ! オマエ!」
若い警官は激高して、口調が一変、チンピラのようになった。
「…オレはな…昨日、オマエのせいで、上司にこってり絞られて、頭に来てんだ…どうしてくれるんだ?…」
と、若い警官。
アタシは、
「…」
と、黙り込んでいると、
その若い警官は止まらなかった。
「…上司に怒られるのが、どんなことか、オマエにわかるか? 査定に響くんだぞ…出世にも響く…下手すりゃ、オレは一生派出所勤務で終わっちまう…」
と、今度は泣きを入れた。
アタシは、
「…それが、どうして、アタシと関係があるんですか?…」
と、言ってやった。
「…関係? …あるに決まってるだろ!…
おおいにある!」
と、若い警官。
「…ちょっと、おまわりさん、いい加減にして下さい…そんなわけのわからないことをアタシのせいにして、おかしいじゃないんですか?…」
「…おかしい? おかしくなんか、ない!…」
と、若い警官が激高!
もはや手が付けられない状態になった。
「オレはまともだ! まともじゃないのはオマエだ…」
と、アタシを指差す。
アタシは内心その通りだ(笑)と、思ったが、それを態度に表すわけにはいかない(笑)
相手が激怒してるのに、自分も同様に激怒するのはマズイ。
この数日、アタシはそれを学んだ(笑)
アタシは一瞬悩んだが、
「…もう、おまわりさんたら、素直じゃないんだから…アタシと付き合いたいなら、最初から、そう言えばいいのに…」
と、甘ったるい声を出した。
途端に若い警官の態度が一変する。
「…付き合う…本官と?…」
「…そう…」
アタシは制服のスカートの端を手でつまんで、少しだけ、パンティが見えるようにする。
若い警官の視線が、アタシのスカートの中に向くのがわかった。
アタシは内心、
「…勝った!…」
と、思った。
アタシのような美人が、パンチラを見せれば、世のオトコどもはすべてスカートの中に視線が向く(笑)
案の定、
アタシの目の前の若い警官が、ヨダレを流さんばかりに、食い入るようにアタシのスカートの中に視線を向けた。
「…この勝負、アタシの勝ちだ!…」
アタシは確信する。
そう思ったとき、
「…いい加減にしろよ、清水…」
と、どこからか、声がかかった。
その声をする方向をアタシは見る。
そこには、ミニパトに乗った、
ユウ
の姿があった。