セリフ詳細

一方の墨家は滅んだ。墨翟を開祖としていて、その後も鉅子と呼ばれる頭首を中心に集団生活をして、無差別な愛を思想の中心とした。この『無差別の愛』というのは実践を含んだハード且つストイックなものだ。

当時は軍拡の時代で諸国が領土を増やすために争っていた。それで儒教っていうのは上に従えというのが正しいあり方になる。つまり上が戦争をしていたら止められないんだな。儒学の仁というのは人との深い関係性を重視する。親を敬え、師を敬え、王を敬え。でも墨家はそこが差別的だと主張したんだ。家族だからといって他より優遇する、そういう差別こそが不利益の起こりである。墨子の思想は十論とも呼ばれるけど、中心は万人を愛する無差別の兼愛と非攻。非攻といっても侵略戦争は否定するけど防衛戦争は否定しない。墨子は基本的に技術集団で、守城・土木技術や鍛冶、戦術なんかを得意としていて、トンカチ持って攻められている城に入って無差別に防衛する。結局墨子は秦が統一すると同時に滅ぶ。守城して滅んだのかもしれないし負けて自害したのかもしれない。そもそも墨家の思想は統一とか軍拡に真っ向反対するから君主には嫌われるんですよ。だから秦から激しく弾圧はされて滅んだという話が有力。でも墨子の本だけは残っている。焚書坑儒を免れたのは技術に関する本だからではないかという気もする。

墨家の逸話は常軌を逸している。例えば墨家の孟勝は楚の城を守ろうとして破れたから約束を守れなかったといって400人で集団自殺した。あ、この話短編でかきたいなぁ……。

作品タイトル:【本編未読OK】君と僕らの備忘録

エピソード名:法家の思想と当時の諸相

作者名:Tempp  Temppp

22|日記・個人ブログ|連載中|45話|175,539文字

作品解説, 建築, ミステリー, 宇宙, 妖怪, 都市伝説, 文学, 死体, 法律, 宗教

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【本編未読OK】
一般小説で書いてる作品に出て来た用語等を独断と偏見で解説するチャットノベルです。
単独でも内容がわかるようにしているつもりです(一部の次回予告除く?)。
以下、主なUP記事(未公開含む)
・ 擬洋風建築はロマン砲
・ ブードゥー教とゾンビ映画
・「魂と魄」、キョンシーと道教
・ 口裂け女は現代日本で生きていけるか
・ 神社合祀と伝承の断絶
・ ヘビ毒とヘビの生態、その他の動物毒
・文系でもわかる(といいな)、ビッグバンと多次元宇宙論とか

【修正】字句等については適宜。
10/26 カテゴリかミステリーになっていたので、日記に修正。その他とかの方がいいのかな、よくわからないな。