『五月に売れ』と題した新連載を始めました。最近の暗号通貨をめぐる時事的な話題をご紹介する、金融エッセイです。
2021年5月に公開した『柴犬は月で笑う』の続編でもあります。
エッセイのタイトル、Sell in May（五月に売れ）というのは、アメリカで有名な金融に関する格言です。この格言なら、一目見て金融エッセイだと分かるかなと思い、これに決めました。

初回は、米国司法省が36億ドル（約4200億円）以上の盗難暗号通貨を押収し、ニューヨーク在住の若い夫婦を逮捕した事件についてです。
2022年2月12日現在で、この事件について取り上げた日本語で読める記事としては、もっとも詳しいと思います。

米国司法省の発表によれば、容疑者のクラウドストレージに94,636BTCが入っている秘密鍵が隠されていて、それを差し押さえたそうです。（参照：Download statement_of_facts_pacer.pdf）
Googleストレージに入れていたのでは、と予想されていますが、もしそうだして、Googleは命令されれば開示するに決まっているので、どうしてそんなところに超重要な秘密鍵を入れていたのか疑問に思います。
巨額の暗号通貨を盗み出し、何年も逃げおおせた華麗な手口と比べて、クラウドストレージに秘密鍵を入れておくというツメの甘さが、ちぐはぐな印象です。犯行の動機もまだ分かっていませんし。
この事件がわたしたちに教えてくれることは、クラウドを金庫にしてはいけない、ということですね！

2022年 02月13日 (日) 12:21｜コメント（0）