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活動報告

第19話~21話のタイトル元ネタと僧兵についてちょこっと(?)

 今回は僧兵について。

 拙作「僧頭の鷲」の2大奇人の一人であるブライトエイジア諜報部長、通称「傀儡師」が冒頭からぼやく宇宙時代の三大不如意。
「スーパーフレア、星間ダービー、山法師(やまほうし)」
 これは平安時代の施政者白河法皇が、天下の三不如意を愚痴った『賀茂河(かもがわ)の水、双六(すごろく)の賽(さい)、山法師、是ぞわが心にかなわぬもの』が元ネタになっています。

 僧兵は興福寺などいろいろな寺にいましたが、白河法王の言うところの僧兵は比叡山延暦寺の僧兵で、あの武蔵坊弁慶も延暦寺で僧になったといわれています。
 白河法皇を悩ましたのは武装した僧兵が神輿(みこし)などの神の権威を伴うものを持って、人事や荘園に関して脅迫的な要求を行う「強訴(ごうそ)」でした。まだ霊的なものに実行力があると信じられていた時代、神輿は相当な畏怖を持って迎えられたようです。延暦寺は日吉社の神輿を担いでいたらしいのですが、延暦寺の僧侶同士が内部抗争で合戦したとき、神輿が延暦寺の根本中堂まで担ぎ上げられ安置されたという記載がありました。第21話に出てくる「ブライトエイジア議会僧兵乱入事件」はこの話を元にしています。

 僧兵と言えば、弁慶ですが他にもいろいろ個性的な人物が居たようです。1177年の強訴で延暦寺側で僧兵を誘導したのが「悪僧(強いという意味あり)にして学匠」「詩歌に達して口聞(くちきき:言葉巧み)」などと評される豪運(ごううん)です。おおっ格好いい! とワクワクしてしまいますね。第一名前からして相当運が強そうです(笑)。

 参考図書:僧兵=祈りと暴力の力 衣川 仁(講談社←いつもハヤカワの宣伝ばかりしている裏切り者ですが、今回は講談社ですよ~!! ニッチで面白い本です)

★それでは、第19話~21話のタイトル元ネタについて★

第19話 闇の左手/アーシュラ・K・ル=グィン:今でこそジェンダーの問題はかなり認知されていますが、元ネタになった作品が出た当時はまだまだ広まっていなかったのでは。新しい感覚に刮目して読んだ覚えがあります。でも本書の2人の関係は同性愛という感じではなく、サバイバルするバディがお互いの性の嗜好を越えて愛に近い友情に育てていく物語です。ハラハラ、ドキドキの美しい(ちょっと甘い)逃避行の物語。惜しむらくは、エストラーベンの設定をもっと美しくして欲しかったなあ……と。頭の中で美形に変換して無理矢理萌えて読んだ覚えがあります。まあ、人のかっこよさっていうのは美醜には関係ないけど。私では魅力が伝え切れていないと思いますが、ほんっとうにロマンチックな、それでいてハードな物語です。ああ、また読みたくなった

第20話 アド・バード/椎名 誠:元ネタの作者は、大人数でキャンプに行ったエッセイとか、私小説に近い青春期で有名な方ですが、SFを書かれてもその熱い少年の心を失わないテイストは健在。この方の書かれる話がすべて好きな私は、結構お金をつぎ込んで買いまくりました。この方のSFを読んでるときには、なぜが自分まで少年になって冒険している気持ちになれるから、旅行代だと思ってます。
 アホ・ハードは「ハードなあほやねん!」という意味でつけたのですが、英文的には「アホになるのはむつかしい、アホになれない」という意味だとご指摘をいただきました。前者だと「傀儡師視点」後者だと「主人公視点」になるのでしょうか。苦しい~のでまたタイトルを考え直すかもしれません。

第21話 星のカンタータ/三木卓:この元ネタをご存じの方はほとんど居ないのではないでしょうか。探してみると古本には「えーーーっ」という値段が付いていてびっくりしました。この本に出会わなかったら、私はSFにはまることも無かったかも知れない、それぐらい自分の精神的な嗜好を変えてくれた本です。ストーリーは二人の少年が「言葉のプラネタリューム」に遊びに行き、「黒のおじさん」にいろいろな世界に誘われるというものです。オムニバス形式になっていていくつも素敵な話があります。私は、生々しい言葉で書かれた本をきれいな言葉に変えていく仕事をしている青年が反勢力に拉致される話がすごく心に残っています。今の時代にも通じる、いや、今だからこそ読んで欲しい話です。電書でも出ていて、古本ほど高価ではありませんが、これは小学生ぐらいの小さいときにぜひ、紙の本で手に届くところにあって欲しい名作です。

 それでは、ここら辺で。外は雪なのに今日も暑苦しく語ってしまいました、すみません~~。

2021年 02月18日 (木) 21:54|コメント(0)

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