第2話 隣に家

文字数 958文字

(あれ? 隣に家が建ってる)
空地だったはずの隣に、小さいけれどけっこうしっかりした家が建っていた。
(昨日はなかった気がするんだけど……)
シイナ
ハルト
どっか行くのか?
一緒に冒険した幼馴染のハルトがやってきた。

ハルトは天才的な魔法使い。軽いけどいいヤツ。

母さんに買い物頼まれて

ふつうの道具屋に

俺も行く
ヒマなのか?
だから

遊びに来たんだよ

そっか
俺たちは冒険から帰ってくると、やることがなかった。
(せっかく勇者になれたのにな)
勇者になると宿屋が安くなったりいろいろとサービスを受けられる。魔王を倒しているから勇者は冒険者として一人前ということになる。でも国王が勝手に決めた法律(こと)だから、本物の勇者になるにはまだまだな気がする。
(まだ勇者見習いって感じする……)
先は長いのかもしれない。
そうだ

今晩、月見する?

母さんに言われたことを思い出し、とりあえずハルトに聞いてみた。
なんで?

シイナの父さんが狼男だから?

ううん

母さんの故郷では、十五夜って言って、満月を観る行事があるらしい

シイナのお母さんの方の行事なわけ?
うん

だから、団子を作る上新粉とススキを買ってくるんだ

なんで?
さあ?
俺にもわからない。
団子はうまいから

食いに来たら?

うん

じゃあ、そうする

ハルトが仲間になって、一緒にふつうの道具屋に行くことになった。
シイナのお母さんの故郷って

どこなんだ?

ふつうの道具屋に向かいながら歩いていると、ハルトが聞いてきた。
知らない

むしろ俺もどこだか知りたい

次の冒険は

シイナのお母さんの故郷に行くってどうだ?

いや、

知りたい気はするけど

行きたいとは思わない

そっか
うん
じゃあ

やめておこうな

ありがとう
冒険者としてそれはどうかとも思うけど。
しかるべき時が来たら

行こうと思ってる

そっか
そん時は

一緒に来てくれるか?

行くに決まってるだろ
そっか
なんか嬉しかった。
ところで

しかるべき時って、どういう時だ?

……知らない
そっか
なんか

使ってみたかった

そういう時もあるもんな
うん
ハルトは優しいから、気を遣ってくれた。
ルカも誘おうと思ってるから、ルカに聞いてみよう
そうだな
ルカんち行けば

いいかな?

ここ来る前に

寄ったんだけどいなかったんだよ

じゃあ

どこにいるんだろう

探さなくても会えるんじゃないか?

狭い村だし

それもそうだな
ルカに会う前に、母さんの買い物を済ませることにした。
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登場人物紹介

主人公:シイナ

魔王を倒した勇者見習い。

剣も使えて魔法も使える。

極めているわけではない器用貧乏。

ハルト

シイナとルカの幼馴染で魔王を倒した仲間。

軽いけれど天才肌の魔法使い。

女子からモテる。

ルカ

シイナとハルトの幼馴染で魔王を倒した仲間。

シイナのことが好きだけど言わない。

一緒に冒険がしたかったから戦士になった。

めちゃめちゃ強い。

アリーナ姫

魔王にさらわれていた大国の姫。

生まれながらのお姫様。

シスターになる教育を受けていて治癒魔法が使える。

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