欲望の歴史

文字数 1,424文字

現代人は欲望にまみれている。

美味しいものを食べたい。好きなだけ寝たい。怠けたい。セックスしたい。認められたい。見返したい。ゲームしたい。
好きな音楽を聴きたい。スタバのコーヒーが飲みたい。旅行に行きたい。ドライブがしたい。楽したい。
面倒ごとを避けたい。死にたくない。いつまでも若くありたい。可愛くなりたい。寒いのは嫌だ。ガンになりたくない。
もっと私をフォローしてほしい。お金が欲しい。愛してほしい。知りたい。酒が飲みたい。勝ちたい。
試験でいい点が取りたい。合格したい。

睡眠欲、食欲、性欲、怠惰欲、承認欲、生存欲、、、

多種多様な欲望があり、その欲望を叶える商品やサービスが蔓延している。
現存する企業は人間の欲を叶える何かを作り、新たな商品を生み出し続けている。例外はない。

全ては人間の欲望を叶えるものだ。
欲望は尽きることがない。
これからも欲望はどんどんどんどん増していくだろう。
だがそれで人間が満足することはない。

どの様にして人間の欲望はここまで進化してきたのか。

人類は今から約250万年前に誕生した。
誕生した時から備わっている欲望がある。
いわゆる遺伝子レベルで備わっている欲望がある。
それらは原始的欲望と呼ばれている。

すなわち、睡眠欲、食欲、性欲のことだ。
どんな生物でも細菌でもウイルスであっても、
自分の子孫を残し増殖することができるよう遺伝子レベルでプログラムされている欲望だ。

他の動物同様、人間もそうプログラムされている。
200万年もの間その欲求は存在し続けてきた。

死なぬように睡眠を取る必要がある。
睡眠不足では心身の不調が生じることは誰もが経験している。
動物実験では不眠状態を続けることで死に至り、実際に寿命が短くなることが確認されている。

死なぬように栄養を取る必要がある。
現代とは違い、いつでも食糧があるわけではなかった。
カロリーの高いものはより栄養価が高く活動の維持に必要だった。
カロリーの高いものを美味しく感じるように、毒や危険なものは苦く感じるようになった。
食糧が飽和する様になったのはついここ百年の間の出来事で、それまでは人類は飢えることが多かった。

子孫を残すためにセックスをする。

これらは原始的な欲求だ。
そうやって人類は200万年以上にわたり生き抜いてきた。
200万年前から今までの長い間、原始的欲求が変わることはなかった。
心理学者のアブラハム・マズローによれば、今でもこれらの原始的欲求は他の欲求よりも上位の強い欲求であり、
他の欲求よりもこの原始的欲求は優先される、としている。


その後人類は進化する。
今から約5万年前、人類に革命が起きる。認知革命だ。
人類の脳は他の動物と比較して異様に大きい。
脳の巨大化に伴い、想像力が爆発的に進化し、文字を読み書き、言語を獲得した。
これを認知革命という。

認知革命が起こる前と後では人間の欲は大きく変わった。
元々備わっていた欲望を言語化することで急激に欲望が進化した。
また原始的欲望とは異なる欲望が出現した。
その一つが承認欲だ。

人類は集団生活を送っていた。
集団から仲間外れにされれば1人で生きていかなければならない。
人間は1人では弱い動物だ。生きていくことは難しい。
死にたくない。
今いる集団の中で仲間外れにされて死にたくない。
仲間外れにされないためにはどうしたら良いのか。
認められれば良いのだ。
集団の中で認められればいよいのだ。
誰かに認められたい。
これを承認欲という。

承認欲はこの様にして生まれた。


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