第6話 リアムと私
文字数 3,413文字
何も言わずに、私が食べろと言ったお菓子……でいいのだろうか? を食べ続ける。
リアムの怪我はいつもと感じが違っていた。
モリ―と戦った後は打ち身が多い。モリ―は武器を使わない。だから、攻略のために敵対しているというよりも、リアムを鍛えているように思えた。
男の子っぽく無邪気に笑う姿はマゾなんじゃないかって思ってたけど、今のリアムは刃物で切られている。お客さんたちが立派な
彼らが和気あいあいと出て行くのを、
と思いつつ見送った。
死線を共に潜り抜けた信頼感が、見ているだけで伝わってくるようだった。
彼らはミスティ村で売っている人間が作ることができる最強の武器と防具を整えていた。リアムは布だけの旅人の服だ。防具屋ではなく雑貨屋で売っているような物。
お客さんたちは私にもふつうに接してくれていたし、悪い人たちではないのだろう。ブレンダお姉ちゃんもチョコマフィンをあげると言っていた。
でも、貧弱で吹けば飛びそうなリアムを4対1でいたぶっている様子を想像したら、悔しくなった。こんなにひょろひょろしてて、まったく強そうに見えないリアムを、あのごっついオッサンどもがよってたかって剣で切りつけていたんだ。
人間はいつもそう。強くもないのに、群れて弱い者をよってたかって倒そうとする。
リアムは昔から強かったわけではない。はじめはとても弱くて、それでも、魔王の城の攻略に向かい、門番のモリーと戦って、少しずつ強くなった。
そう思ったら涙が出てきた。
そう言うとまた涙が出てきたから、涙をぬぐいつつ横を向くように座り直す。泣き顔を見せたくなかった。
魔法で治していたから肌に傷はなかったけれど、服は刃物で切られている。胴体には大きな切れ目があって、その下に傷があったら、どれだけ大きくて、どれだけ血が流れたのだろう。
治癒魔法が使えなかったら、リアムは死んでいたかもしれない。なんでもない顔をして、いつもと変わらない感じで話しているけど、ホントはとっても大変だったのかもしれない。
誰にも気づかれずに、ひとりで死んでたかもしれない。
そう思ったら、ますます涙が出てきた。
そう思うと、ますます涙が出てきた。
恥ずかしくてしかたがない。
背中にリアムの温もりを感じた。
たれてくる涙と鼻水をハンカチでぬぐいながら言う。
リアムはそう言ってバスケットを返してきた。
バスケットを受け取って膝に置く。
ほんとに、お姉ちゃんたち、嫌がらせしてたわけじゃなかったのかな……?
たまたまってことだってあるけど……。
あらがえない何かに流されているような……
リアムは月々宿泊料を支払っていて、その中には食事代も入っている。
『どんなお客さんも家族のように』
5年も居るし。
お客さんがいると、リアムはウチの宿屋に寄り付かないから、もう1週間はちゃんとしたご飯を食べていないはずだった。
ミランダお姉ちゃんはそう言ってた。
だからむやみに採って、食べないようにと。
疲れたようにリアムが言った。
私は宿屋の前に捨てられた。
母親の手で。