45)ライオン傭兵団招集!

文字数 7,305文字

 7月に入った皇都イララクスには、暑い夏の日差しが降り注いでいた。
 この地域の湿度はそれほど高くはない。陽の照っている場所ではうだるように暑いが、日陰に入ると途端に涼しく気持ちがいい。
 ハーメンリンナは温度管理が広域でされているし、ベルトルド邸の敷地には特別緑が多く生い茂っているので、夏場でも(やしき)の中に気持ちのいい風が吹き込んでいる。
 窓は全て開け放たれていたが、薄い麻のカーテンで日除けがされて、室内は柔らかな明るさに満ちていた。

「こうしてのんびりするのも悪くないな。病院だとごめんだが、リッキーと一緒だから気分がいい」

 頭の下で両手を組んでベッドにごろりと寝転がりながら、ベルトルドは気持ちよさそうに言った。その傍らにぺたりと座っているキュッリッキは、冷たいオレンジジュースをストローで啜りながら、小さく肩をすくめた。
 昨日退院――半ば逃亡――したベルトルドは、キュッリッキの前でだいじなコレクションが発覚して、大顰蹙を買った。
 原因を作ったルーファスにたっぷり制裁を加えたあと、ベルトルドはコメツキバッタのごとく土下座までして、必死にキュッリッキに謝って軽蔑を解いてもらい今に至る。
 キュッリッキの信頼を取り戻すため、ベルトルドは血の涙を流しながらだいじなコレクションをアルカネットの魔法で全部焼却処分した。その陰でルーファスも滝のような涙を流したのは言うまでもない。
 もっともキュッリッキにとってエロ本の有無などどうでもよかったが、これ幸いとアルカネットが率先して焼却した。

「ちょっと見ない間に、変わったかな、リッキー」
「え?」
「雰囲気が少し変わった気がするぞ。それも、好い感じに」

 相変わらずベルトルドは優しく微笑んでいるが、キュッリッキはそわそわと落ち着かない気分になった。友達のファニーにも指摘された。

「誰か、好きな人でも出来たのかな?」

 別に責めるような口調ではない。表情はそのままに、穏やかに核心を突いてきた。
 キュッリッキは瞬時にメルヴィンの顔を思い出して頬を紅潮させると、困ったように俯いた。

「そうか、リッキーは恋をしたんだな」
「こ、恋?」
「ああ。とっても気になっている人を思い浮かべると、そんなふうに、顔が真っ赤になって恥ずかしくなってしまう。でも、好きで好きでしょうがないんだ。リッキーにとって、それは初恋だな」
「初恋…」

 なら、自分はメルヴィンに恋をしているんだろうか。
 これまで愛というものも知らなかったキュッリッキにとって、恋などというものは無縁だった。
 誰かをこんなふうに好きになるなんて、思いもよらなかった。ライオン傭兵団のみんなやベルトルドやアルカネットに対する好きと、メルヴィンに対する好きは、ちょっと違うということだけは判っていた。

「俺も、恋をしている」

 ベルトルドは視線をベッドの天蓋に向けて、これ以上にないほど嬉しそうな顔で笑った。

「この歳になって、やっと本気の恋をしているんだ」
「ベルトルドさんも、初恋……なの?」

 やや遠慮がちに聞くと、ベルトルドは再びキュッリッキに視線を戻して頷いた。

「ああ。俺は、リッキーに恋をしている」

 あまりにもサラッと告白されて、キュッリッキは反応に困った。
 これまで愛しているだの大好きだのと言われてきたが、こうして面と向かって改めて言われると、なんだかとても恥ずかしい。恋というものを、自分でもしているからそう感じるんだろうか。

「俺はガキの頃、好きな人がいたんだが、それは恋には出来なかった」
「え?」
「アルカネットの奴と、同じ相手を好きになったんだ」

 ベルトルドは記憶を辿るように目を細める。

「俺とアルカネット、そして彼女とは、幼馴染だった」

 目を閉じ、昔のことに思いを馳せた。

「隣近所で、何をするのも一緒、俺もアルカネットも彼女が大好きだった。それが恋に発展するのも、アルカネットと同じ時期でな」

 キュッリッキは黙って聞いている。

「だがアルカネットの奴に、彼女に告白するから、俺には引き下がれと面と向かって牽制されてしまった」
「ぇえ…アルカネットさん……」
「俺は2人が大好きだったから、2人が恋人同士になるのは構わなかった。――だから俺は、恋をしそこねたのさ」

 ベルトルドの表情には悔しさも無念さもない。ただの思い出話を懐かしく語るだけの、とても穏やかな顔だった。

「恋は良いもんだな。リッキーがそばにいるだけで幸せだ。キスもしてもらったし」
「あ…あれは、別に恋とかじゃなくって、その、か…感謝のキモチだからねっ!」

 思わずムキになって身を乗り出すと、ベルトルドはククッと笑う。

「アルカネットに見せつけてやれたから、なんにせよ大満足だ、俺は」
「もぉ……」

 オマケにメルヴィンの前でも見せつけてしまったことを思い出して、キュッリッキはふくれっ面になった。
 ベルトルドへのお礼を成功させることだけを考えていたから、メルヴィンが見ていることまで思い至れなかったのだ。

「今まで色んな女どもと関係をもってきたが、我を忘れるほどのキスは、これまで一度もなかったなあ……」

 ハァ…とため息をついて、ベルトルドは記憶に残る女達のことを思い出す。

「顔や見てくれはイイんだが、欲求不満の解消にはなったが、恋だの愛だのに発展しなかった。若い頃から随分の数の女を相手にしてきたが、恐ろしい程身体の関係だけで終わった」

 ちなみに今も若いぞ、と真顔で釘を刺す。

「俺はロリコンだったのか…とも思ったが、リッキーくらいの歳の少女も何人か迫ってきたが、まあ当然追い払ったがな。さすがに欲情はわかなかった」
「ふーん…」

 ベルトルドの女性遍歴告白にどう反応していいのか困って、キュッリッキはわざと気のない返事をするだけに留まる。

「今はもうリッキーに恋をしているから、俺は満足だ」

 無邪気に笑いかけられて、キュッリッキは僅かに頬を赤らめた。

「リッキーが俺以外の誰かに恋をしていても、俺は構わない。リッキーを好きで、愛しているのは俺の意思だしな。もちろんリッキーが、俺に恋をしてくれると最高に嬉しいんだが」
「ベルトルドさん……」

 ベルトルドのことは大好きだ。でもそれは恋愛感情とは違う。父親のようなだいじな存在だ。だからひとりの異性として、意識することは出来なかった。

* *

 これまで種族のこと、生い立ちのこと、コンプレックスのことなどが心に壁を作って、人を好きになることや愛することとは無縁だったな…。ファニーやハドリーに友誼を感じるまでには、随分時間を要したくらいだもん。2人と出会うまでは、人を信じることが全く出来なかった。
 全ての人間は敵であり、アタシを責め苛む存在。冷たくて優しくない。少しでも心を許せば、隠していたい秘密が暴かれる。信じられるのはフェンリルやアルケラの住人たちだけ。アルケラの住人たちだけは絶対にアタシを裏切らない。
 でも心のどこかでは、温かい家庭、優しい両親、親しく心許せる友達が欲しかったの。時折街で幸せそうな家族や友達同士の他人を見かけると、胸の奥が苦しくなったり辛かった。今も辛いと感じるけど、昔はさらに酷かった。
 ファニーもハドリーも家族のことは一切話さなかった。互の境遇には一切触れないし、そのことが2人を受け入れられた最大の理由。もし2人が家族のことを嬉しそうに話していれば、アタシは心を開かなかったと思う。心を開けたから、少しだけアタシの秘密を話すことができたの。
 ライオン傭兵団に勧誘されて入団すると、初めて居心地の良さを感じた。アタシにも居場所ができたかもって思うことができた。そしてベルトルドさんとアルカネットさんに全てを曝け出して、ありのままのアタシを見せることができた。こうして、恋というものが出来るまでになったわ。
 ベルトルドさんには感謝してもしきれないほどの恩義を感じている。でも、アタシはベルトルドさんの恋を受け入れられない…。だってアタシは――

* *

「リッキーが恋をしている相手を、当ててみようか」

 寝転がったまま、ベルトルドはにやりと口の端を歪めた。

「えっ?」
超能力(サイ)は使わないぞ」

 挑むように言われて、キュッリッキは顔に緊張を浮かべ自然と背筋を伸ばした。

「俺の知ってる奴だな」

 目を閉じ、わざとらしく考え込むように顎を引く。そして頭の下から片手を出すと、人差し指を立てた。

「メルヴィンだろう?」

 人差し指をキュッリッキに向け、不敵に笑う。
 キュッリッキは瞬時に顔を真っ赤にして、口を戦慄かせた。

「ち……ちが……ちが」
「おや? ハズレか?」

 笑い含みに言うと、キュッリッキの顔がますます赤くなる。そのうち火でも吹きそうだ。その様子があまりにもおかしくて、ベルトルドは大笑いしたいところを必死に我慢した。

「んもおおおベルトルドさんのバカぁ!」

 激しい動揺を隠そうとしたキュッリッキは、膝の上で寝ていたフェンリルの尻尾を掴むと、思い切りベルトルドの顔に叩きつけた。

「ふがっ」

 フェンリルの頭部がモロ鼻にぶつかって、一瞬目の前が真っ白になりかけた。目に涙をにじませながら、ベルトルドはフェンリルの後脚を掴んで顔から引き剥がす。

「一応顔はだいじなんでな……。生きてるか、犬は」

 当然フェンリルは脳天直撃で、意識がふっ飛んでいた。まるで蛙の干物のような体勢で伸びてしまっている。

「あ……」

 キュッリッキは自分が掴んで叩きつけたのが相棒だと気づいて、サーッと血の気がひいていった。


* * *


 ベルトルドから呼び出されたメルヴィンとルーファスは、キュッリッキの部屋のドアをノックした。
「入れ」と声がかかり室内に入ると、大きなベッドの上に寝転がったベルトルドと、明後日の方向を向いて、念仏のようにブツブツ何かを言ってるキュッリッキが座っていた。

「ごめんねフェンリル、ごめんね、ごめんねっ」

 人間で言えば「ぶすーーーーっ」とむくれたような表情(かお)をして、フェンリルが面前のキュッリッキを睨みつけている真っ最中だ。
 ルーファスが「どうしたんです?」とジェスチャーでキュッリッキを指すと、ベルトルドはニヤニヤとした笑いをキュッリッキに向ける。

「もうぉ、笑わないでよーー!」

 キュッリッキは泣きそうな顔で叫んだ。
 そしてメルヴィンとルーファスが、「ぶっ」と突然吹き出して笑いだした。ベルトルドが超能力(サイ)で、フェンリルの悲劇のシーンを見せたらしい。
 3人は笑うだけ笑うと、息苦しそうになんとか笑いを引っ込めた。キュッリッキは憮然とした顔で、そんな3人を睨みつけている。

「鼻がとっても痛かったが、面白かったぞ。さすがは神だな、意識は飛んだようだが生きていたか」

 噛み付きそうなフェンリルに睨まれて、ベルトルドは面白そうに片方の眉だけ上げた。
 叩きつけられたことよりも、咄嗟のこととはいえ意識を手放してしまったことに、フェンリルはプライドを傷つけられ腹を立てていた。

「さて、あいつらもここに飛ばすぞ」

 ベルトルドは身体を起こすと、あぐらをかいて座り直し、パチリと指を鳴らした。
 それは、あまりにも一瞬のことだった。

「ほんとに空間転移したぞ!」

 ギャリーが喚く。

「一瞬でしたねえ、凄い、凄い」

 驚いたようにカーティスが呟いた。

「あれっ? みんなどうしちゃったのよ?」

 ルーファスがギョッとして、自分の周りを見回す。
 突如ルーファスとメルヴィンの周りに、大きな荷物を背負ったライオン傭兵団が勢揃いしていた。


* * *


 それは、霧けぶる早朝のことだった。
 突然ベルトルドに念話で叩き起され、驚いた拍子に横で寝ていたマーゴットに肘鉄を食らわせてしまった。幸い彼女は唸り声を上げただけで、目は覚まさなかった。

(おはようございます、なんですか……、ムゥ…まだ4時じゃないですかっ!)

 カーティスは枕元の小さな置時計を手に取って時間を確かめると、眉間を不愉快そうに寄せた。
 昨日ソレル王国に居残っていたザカリー、マリオン、マーゴットの3人が帰ってきて、久しぶりにマーゴットとベッドを共にして、気分良く寝ていたらこれである。

(やることやったあとだから、別にいいだろう)
(………)

「いいわけあるか」と念話にではなく小声でぼやく。

(早速だが、今日の昼過ぎに俺の(やしき)にこい。マーゴットとブルニタルは留守番、その他全員、1ヶ月ぶんくらいの着替え諸々荷造りしておけ)
(はぁ……?)
(荷造り終わったら、食堂にでも集めておけ。俺の超能力(サイ)(やしき)まで転移させるから)
(はぁ…)
(詳細はこちらで話す。以上だ)

 そこで念話はきれて、カーティスはまだ眠気の満ちる頭で何事か考えようとした。が、アレコレ考えてもしょうがないとの結論に達し、再び眠りに就いた。
 早朝のことを思い浮かべ、カーティスはベッドの上のベルトルドを軽く睨む。

「これだけの人数を一度に飛ばすと、さすがに堪えるな……」

 現在確認されている超能力(サイ)〈才能〉(スキル)保持者の中で、ベルトルドにしかできないと言われる空間転移。どんなものでも瞬時に空間を移動させられるのだ。
 ただ飛ばす量が多いと身体に負担がかかるようで、この場にヴィヒトリがいたら軽く睨まれるところだ。
 本当に億劫そうにベルトルドは横になり、シレっとキュッリッキの膝の上に頭を乗せた。

「あああ!! おっさんなにしてるんだ!!」

 気づいたザカリーが、指をさして怒鳴る。

「見ればわかるだろう、リッキーに膝枕してもらっている」

 横になりながらも腕を組み、さも当然といった体で答える。しかもドヤ顔である。そのふてぶてしい態度が、ザカリーの怒りを煽りまくった。

「何を羨ましいことをヌケヌケと……」

 拳を握り締め、悔しさのあまりザカリーは唇を戦慄かせた。足元でハーマンが「よしよし」と同情を滲ませ足を叩く。
 キュッリッキは突然のことで事態を飲み込めていなかったが、膝の上に頭をのせたベルトルドのことはどうでもよく、かなりのテンポをずらして「みんな~」と嬉しそうに声をかけた。

「天然入りすぎだぞキューリ」

 反応の鈍さに、ギャリーが肩を落としてツッコんだ。

「さて、我々をお呼びになった理由をお聞かせください」

 カーティスが努めて冷静に言うと、ベルトルドはフンッと鼻息をついた。

「今日からお前ら、俺の(いえ)で合宿だ」

 かなりの間を置いたあと。

「なんだってえええええ!!?」

 と、絶叫が(やしき)中に轟いた。

「北の棟に部屋を用意してやった。細かいことはセヴェリに一任してあるから、あとで指示を仰げ」

 冗談じゃねえ、という空気が憚ることなく露骨に漂う。

「合宿ってどんなことするの?」

 この空気の中にあって、ただひとり嬉しそうな声を出すのはキュッリッキだ。合宿という単語に、なにか楽しそうな雰囲気を感じたらしい。ベルトルドはニッコリとキュッリッキに微笑んだ。

「今日からしばらくの間、こいつらも俺の(いえ)で寝泊りするんだよ」
「ホント? みんなと一緒!」

 キュッリッキの顔がみるみる喜びで輝く。
 これなら毎日でもみんなと一緒にいられる。それを思うと、キュッリッキは嬉しくて嬉しくて心が弾んだ。

「ペルラ、ガエル、ヴァルト、そしてリッキーの4人は、この国の軍入隊経験がなかったな。ルーも軍ではないが、まあ宮仕え経験者か。――リッキーは俺直属になるからいいとして、お前ら、懐かしさ溢れる古巣に一度戻ってもらうぞ」
「ほえ?」

 シビルが間の抜けた声を出すと、ベルトルドはその反応が予想通りなのがおかしくて、笑みを深める。

「ライオン傭兵団は臨時で一時、皇国の軍隊に編入してもらうと言っている」

 今度こそ完全に沈黙が降臨した。



「マリオンらからある程度、話は聞き及んでいるだろう。かのソレル王国が、近隣小国と結託して、飼い主である皇国に戦争を吹っかけようとしていると。せっかくだから、皇国の戦力と対等に戦えるだけの準備くらいさせてやろうと、生ぬるく見守ってやっていたが、どうやら向こうの準備が整ったらしい」
「泳がせていたんですか」

 苦い表情を浮かべるカーティスに、ベルトルドはニッコリと笑んだ。

「中途半端に手を出すわけにもいかない。貴様らに救出依頼をして、暴れてもらった件もあるし、あれで奴らも動きを慌ただしくしたようだ。まあ、奴らの期待に派手に応えてやるのも飼い主の務めというもの。どうせ遊んでやるなら、出し惜しみせず、最大戦力で迎え撃ってやろうと思ってな」

 ベルトルドはキュッリッキの膝に、何度か頬をスリスリして感触を楽しむ。柔らかだが、ハリのある肌が気持ちイイ。

「そこでお前たちに仕事の依頼だ。報酬大いに弾んでやるから、戦争手伝え」

 にっこりと締めくくると、皆脱力した顔を並べていた。

「傭兵の本分だろう、戦争は。小競り合い程度の戦争は経験があるだろうが、今回のような大規模なものは、貴様たちは初めてになるか。――いや、3年前に一回あったな」

 ギクッ、という雰囲気が室内に漂う。そして、ベルトルドとキュッリッキを除く全員が、カタカタと身体を震わせ、顔を青ざめさせた。

「?」

 キュッリッキは不思議そうにライオン傭兵団を見る。

「ふふーん。懐かしい思い出だよなあ、貴様らの無様極まるあの戦場での姿」
「思い出させないでくださいよー!!」

 腹の底から振り絞るように、ザカリーは叫んだ。

「いやもう、マジ勘弁っすよ御大…」

 ギャリーもゲッソリしながら、もごもご口を動かした。
 ベルトルドは意地の悪い笑みを向けて、更に彼らの胃痛を煽った。キュッリッキだけは話が見えなくて、ちょっと拗ねて唇を尖らせる。

「詳細は追々話してやるが、大雑把に言うと、最初は軍隊と共に動いてもらうが、最後は俺とアルカネットと共に動いてもらう。思い上がった馬鹿どもに、力の差というものを知らしめるために俺も出る。飼い主に逆らったらどうなるか、徹底的に叩き潰す。手心を加えるつもりもない。――終戦後には、モナルダ大陸からソレル王国の名が抹消されることになるな」

 クックッと愉快そうにベルトルドは笑った。

「こちらの準備もほぼ終わっている。あとはお前たちが、軍服に袖を通すだけだ」
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登場人物紹介

【キュッリッキ】

・〈才能〉:召喚、ランク:over

・年齢:18歳⇒19歳、女性

・出身:アイオン族

・一人称:アタシ

本作の主人公。

フリーで傭兵をしているが、ベルトルドにスカウトされたことでライオン傭兵団へ入ることになる。

【ベルトルド】

・〈才能〉:超能力、ランク:over

・年齢:41歳、男性

・一人称:俺

ハワドウレ皇国副宰相、アルケラ研究機関ケレヴィルの所長。

「泣く子も黙らせる副宰相」という物騒な通り名を持つ。

とある事件を解決に導いたことで軍総帥の地位も下賜され、毎日デスクの上に書類の山脈を作るほど事務仕事に忙殺されている。事実上国政の長。

【アルカネット】

・〈才能〉:魔法、ランク:over

・年齢:41歳、男性

・一人称:私

ハワドウレ皇国軍特殊部隊尋問・拷問部隊長官⇒ヴィーンゴールヴ邸(通称:ベルトルド邸)執事長⇒ハワドウレ皇国軍特殊部隊魔法部隊《ビリエル》長官。

異色の経歴を持つ世界最強最高の魔法使い。

【リュリュ】

・〈才能〉:超能力、ランク:S

・年齢:41歳、男性(オカマ)

・一人称:アタシ

ベルトルドの首席秘書官でオカマ。

事務処理能力に富み、ベルトルドの股間を常に狙い、オカマの恐怖でベルトルドを威圧している。

【シ・アティウス】

・〈才能〉:記憶、ランク:SS

・年齢:41歳、男性

・一人称:私

ハワドウレ皇国アルケラ研究機関ケレヴィルの研究員⇒所長。

アルケラに関する研究をもっとも積んでいて、知識量も豊富。

【カーティス】

・〈才能〉:魔法、ランク:S

・年齢:30歳、男性

・一人称:私

・魔具:強化魔法の呪文を彫り込んだ銀の杖

ライオン傭兵団の創立者でリーダー。

ベルトルドから解放されることが願い。やや選民意識がある。

【ギャリー】

・〈才能〉:戦闘・武器系複合、ランク:S

・年齢:29歳、男性

・一人称:オレ

・武器:魔剣シラー(大剣)

・特殊技:リヴヤーターンモードなど

ライオン傭兵団の兄貴的存在。面倒見がいい。ザカリー、ルーファスとは同郷の幼馴染。今も2人とは仲がいい親友。

【ルーファス】

・〈才能〉:超能力、ランク:S

・年齢:30歳、男性

・一人称:オレ

ライオン傭兵団中衛・通信・支援・時々攻撃担当。片手剣と超能力を組み合わせた独自の戦闘をとることができる。

亡きベルトルドの後継者と目されるほどの女好き。ただし、巨乳美女が好み。気さくなお兄さんといった優しい性格。

【ザカリー】

・〈才能〉:戦闘・武器系遠隔複合、ランク:S

・年齢:28歳、男性

・一人称:オレ

・武器:魔銃バーガット

ライオン傭兵団の後方遠隔攻撃担当。〈才能〉の能力で異様に視力が高く調整できる。

本気でキュッリッキを好きになるが、仲は仲間以上縮まらない。

【シビル】

・〈才能〉:魔法、ランク:AAA

・年齢:歳、女性

・一人称:私

・魔具:木の杖

ライオン傭兵団の強化・支援担当。攻撃はあまり得意な方ではない。

何かと騒がしい団の中では、常識論を言うけどあまり聞き入れてもらえない。しかし挫けず奮闘中。

【ハーマン】

・〈才能〉:魔法、ランク:S

・年齢:27歳、男性

・一人称:ボク

・魔具:分厚い本

ライオン傭兵団の前衛担当。高い魔力を持ちハイレベルの魔法を使いこなすが、魔法コントロールを苦手としている。

【ガエル】

・〈才能〉:戦闘・格闘系複合、ランク:SS

・年齢:33歳、男性

・一人称:俺

・装備:ドラウプニル(篭手)

ライオン傭兵団の前衛担当。ブルーベル将軍の甥でもある。

タルコット、ヴァルトとは筋金入りの戦闘バカトリオ。

【ブルニタル】

・〈才能〉:記憶、ランク:AA

・年齢:29歳、女性

・一人称:私

ライオン傭兵団の中では、分析、戦略立案、情報収集、後方準備などの後衛を担当。何故か手帳にメモをとる癖がある。

【ペルラ】

・〈才能〉戦闘・武器系剣術、ランク:S

・年齢:28歳、女性

・一人称:私

・特殊技能:アサシン

ライオン傭兵団の中では、ときに近接戦闘もするが、後方から短剣などで支援をしたり、偵察や情報収集も行う。

ヴァルトに熱愛されているが、思いっきり鬱陶しく思っている。

【ランドン】

・〈才能〉:魔法、ランク:S

・年齢:29歳。男性

・一人称:私

・魔具:ナシ

ライオン傭兵団の中では、主に回復魔法担当。その他ザカリーの魔弾作成もしている。

回復魔法などの繊細な魔法の扱いが上手く、専属医の居ない傭兵団の中で、団員たちの健康状態を常に気遣っている。

【メルヴィン】

・〈才能〉:戦闘・武器系剣術、ランク:SS

・年齢:30歳、男性

・一人称:オレ

・武器:爪竜刀

ライオン傭兵団のサブリーダー、前衛担当。

皇国五指に入るほどの剣術マスター。軍を辞める際、思い留まらせるために10人の大将が宿舎に列を作ったというレジェンドを持つ。生真面目で優しく、よく人を見ている。が、ある一点のみ究極の激鈍。

【タルコット】

・〈才能〉:戦闘・武器系剣術、ランク:SS

・年齢:29歳、男性

・一人称:ボク

・武器:魔剣・スルーズ(大鎌形態)

ライオン傭兵団前衛・近接戦闘担当。ヴァルトと並び、ライオン傭兵団の美人双璧と呼ばれるほどの、美貌の持ち主。ただ何故か女性と間違われてナンパされまくる不運に見舞われている。

常に黒一色の服装を好み、黒以外まとうことはない。ガエル、ヴァルトとは筋金入りの戦闘バカ。

【ヴァルト】

・〈才能〉:戦闘・格闘系複合、ランク:SS

・年齢:30歳、男性

・一人称:俺様

・装備:ドラウプニル(篭手)

ライオン傭兵団前衛・近接戦闘担当。

タルコットと並び、ライオン傭兵団の美人双璧と呼ばれるほどの、美貌の持ち主。しかし口を開くとバカ発言やバカっぽい口調が特徴。

団員の誰よりもしっかりと真実を見抜いている、鋭い洞察力に優れている。ペルラと結婚したいと悩んでいる。

【マリオン】

・〈才能〉:超能力、ランク:AA

・年齢:30歳、女性

・一人称:アタシ

ライオン傭兵団中衛・通信・支援・時々攻撃担当。

団のオネエサン的存在で、ルーファスとつるんでキュッリッキで遊んだり、ワルイことを教えている。しかし、みんなのムードメーカー。

【マーゴット】

・〈才能〉:魔法、ランク:C-

・年齢:26歳、女性

・一人称:私

ライオン傭兵団のお荷物。元マスコット的存在(自称)。カーティスの恋人。

魔法の扱いが下手すぎて、仕事はほとんどさせてもらえない。しかし報酬は当然のように受け取るので反感を買っている。自分では上手いと思い込んでいる。

【ヴィヒトリ】

・〈才能〉:医療系複合、ランク:SSS

・年齢:28歳、男性

・一人称:ボク

ボクハーメンリンナの大病院に勤務する医師。キュッリッキの主治医で、ヴァルトの弟でもある。

【ハドリー】

・〈才能〉:戦闘・武器系両手斧術、ランク:B+

・年齢:25歳、男性

・一人称:オレ

キュッリッキが初めて得た親友。面倒見がとても良い。

【ファニー】

・〈才能〉:戦闘・武器系剣術、ランク:B+

・年齢:21歳、女性

・一人称:あたし

キュッリッキの親友でお姉さん的存在。3年前にギルドで出会って何かと世話を焼いててそのまま仲良くなった。

【グンヒルド】

・〈才能〉:記憶、ランク:A+

・年齢:41歳、女性

・一人称:私

良家の子女を主にしている家庭教師。ダエヴァのカッレ長官の姉君でもある。

キュッリッキの家庭教師になった。

【リトヴァ】

・〈才能〉:超能力、ランク:AAA

・年齢:63歳、女性

・一人称:私

ベルトルド邸のハウスキーパー。

【セヴェリ】

・〈才能〉:超能力、ランク:AA

・年齢:68歳、男性

・一人称:私

ベルトルド邸の従僕の一人だったがアルカネットが軍に復帰してから執事代理になる。

【アリサ】

・〈才能〉:戦闘系槍術、ランク:S

・年齢:24歳、女性

・一人称:私

ベルトルド邸のメイドで、キュッリッキ付きになる。

【皇王】

・〈才能〉:超能力、ランク:S

・年齢:70歳、男性

・一人称:ワシ

タイト・ヴァリヤミ・ワイズキュール。ハワドウレ皇国の皇王。

ベルトルドからは面と向かって「昼行燈の能無しボケジジイ」と言われているが気にしてない。

【ブルーベル】

・〈才能〉:戦闘系格闘複合、ランク:SSS

・年齢:72歳、男性

・一人称:ワシ

ハワドウレ皇国将軍。ガエルの伯父でもある。

【ハギ】

・〈才能〉:記憶、ランク:AA

・年齢:44歳、男性

・一人称:私

ブルーベル将軍の秘書官。

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