第5話
文字数 1,945文字
「やっぱり休日の日は海を眺めながらのんびりするのが最高よね!」
祐樹の運転の横で美玖が嬉しそうに言葉を綴る。
「そうだね。今の時期なら人はまずいないし、あそこはどちらかというと穴場だからね」
祐樹が運転をしながら楽しそうに言葉を綴る。
「休日に天気がいいなんて、私たちの日頃の行いが良いのかな?!」
「ははっ!そうかもね!」
そんな会話をしながら車を走らせる。しばらくして、海が見えてきて、近くに車を停める。車を降りて、海に向かうと、美玖が人影を見つけた。
「あれ?あの人、海に向って歩いていない?」
遠目に海に向って歩いている人影を見かけて美玖がそう声を発する。
「でも、海水浴の時期じゃないし、ダイバーの格好でもないよね?」
祐樹もその人影を見て不思議そうに言葉を発する。
その時だった。
海に向って歩いていた人影が海の中に入っていく姿を捉える。その様子で美玖と祐樹がただ事じゃないと感じ、走ってその場に急ぐ。
「ちょっと!止まりなさい!!」
美玖が人影にそう声を掛けるが人影にはその声が聞こえないのか、どんどんと海に体を沈めていく。そして、全身が海に入り、美玖と祐樹がその所まで急いで泳いでいく。
――――ザバンッ!!!
沈んだ人影を美玖が持ち上げる。
「ちょっと!何しているのよ?!……え?」
美玖がその人影にそう声を掛ける。それと同時にその人影の顔を見て美玖が驚きの声を出す。
「茉理……?」
「知っている人なの?」
美玖の言葉に祐樹がそう尋ねる。
「……間違いないわ……茉理よ……」
茉理は意識が殆どないのか、息はしているが目を開かない。
「とりあえず、アパートに連れて帰ろう」
祐樹がそう言い、茉理を二人掛かりで運び、車に乗せてアパートに戻っていった。
「……じゃあ、茉理さんは飛び出して行ったきり、まだ帰っていないのですね?」
奏の言葉に敦成が暗い表情で頷く。
「茉理さんはなぜあんなことをしたのですか?」
「そ……それ……は……」
奏の言葉に敦成が言葉を詰まらす。元々、茉理が母親を刺したのは、敦成があんな言葉を言ったのも一つの原因ではある。しかし、警察にはそのことをまだ話していない。当事者以外、あの時に何があったかはまだ何も知らされていなかった。つまり、奏たちは何があったのかまでは分からない。なので、こうやって敦成に事情を聞いている。
「何があったかは……その……俺にもよく分からなくて……」
敦成が言葉を濁す。
「質問を変えます。あなたと茉理さんや茉理さんの母親との仲は普段はどうなのですか?」
「えっと……その……」
透がそう敦成に質問するが、敦成はその質問にも言葉を濁す。
「ちなみに、あなたは何の仕事をしているのですか?」
透がまた質問を変えて敦成に問う。
「その……し……仕事は……」
敦成の態度に奏たちが疑問を持ち始める。
「今日のところは一旦引き上げます。茉理さんから何か連絡があったらこちらにお知らせください」
透がそう言って一枚の紙を敦成に手渡す。
そして、奏たちはそのマンションを後にした。
「……質問に何も答えませんでしたね」
帰り道、奏がそう言葉を漏らす。
「何か怪しいな……。もしかして、あの人、仕事していないんじゃないか?」
槙がそう言葉を綴る。
「確かにそうかもな。仕事をしているなら何の仕事をしているかぐらいは答えられるはずだしな」
紅蓮が言う。
「今回の事はあの敦成って人が何かカギを握っているかもしれないな」
透がそう考察する。
「茉理さんは確か食品を扱う株式会社で、事務関係の仕事をしていましたよね?そちらで何か情報は得られないのでしょうか?」
「……そっちで当たってみるか……」
奏の言葉に、透がそう返事をして、みんなで茉理の勤めている会社に行くことになった。
「たす……けて……」
布団の中で何かの夢を見ているのだろうか?茉理がそう言葉を呟く。
あの後、美玖たちは茉理を連れてアパートに戻り、布団に寝かせた。病院に連れて行くことも考えたが、茉理の荷物の中に保険証が無かったので、おいそれと病院にも連れて行くことが出来ない。それに、こうなったのには何か大きな事情も考えられる。とりあえず、茉理が目を覚ますのを待つことにした。
「一体、何があったのよ……」
美玖が茉理の掌を握り締めながらそう言葉を呟く。
「死のうとしたくらいだから、かなり追い詰められているってことだよね……」
祐樹が美玖の横で心配そうに言葉を綴る。
「……あっ、メイクだけでも落としてあげようよ。肌にも良くないし……」
美玖がそう言って、洗面所からふき取りタイプのメイク落としを持ってくる。そして、丁寧にメイクを落としている時だった。
「え……なに……これ……」
美玖が茉理のメイクを落として出てきた素顔に愕然となった。
祐樹の運転の横で美玖が嬉しそうに言葉を綴る。
「そうだね。今の時期なら人はまずいないし、あそこはどちらかというと穴場だからね」
祐樹が運転をしながら楽しそうに言葉を綴る。
「休日に天気がいいなんて、私たちの日頃の行いが良いのかな?!」
「ははっ!そうかもね!」
そんな会話をしながら車を走らせる。しばらくして、海が見えてきて、近くに車を停める。車を降りて、海に向かうと、美玖が人影を見つけた。
「あれ?あの人、海に向って歩いていない?」
遠目に海に向って歩いている人影を見かけて美玖がそう声を発する。
「でも、海水浴の時期じゃないし、ダイバーの格好でもないよね?」
祐樹もその人影を見て不思議そうに言葉を発する。
その時だった。
海に向って歩いていた人影が海の中に入っていく姿を捉える。その様子で美玖と祐樹がただ事じゃないと感じ、走ってその場に急ぐ。
「ちょっと!止まりなさい!!」
美玖が人影にそう声を掛けるが人影にはその声が聞こえないのか、どんどんと海に体を沈めていく。そして、全身が海に入り、美玖と祐樹がその所まで急いで泳いでいく。
――――ザバンッ!!!
沈んだ人影を美玖が持ち上げる。
「ちょっと!何しているのよ?!……え?」
美玖がその人影にそう声を掛ける。それと同時にその人影の顔を見て美玖が驚きの声を出す。
「茉理……?」
「知っている人なの?」
美玖の言葉に祐樹がそう尋ねる。
「……間違いないわ……茉理よ……」
茉理は意識が殆どないのか、息はしているが目を開かない。
「とりあえず、アパートに連れて帰ろう」
祐樹がそう言い、茉理を二人掛かりで運び、車に乗せてアパートに戻っていった。
「……じゃあ、茉理さんは飛び出して行ったきり、まだ帰っていないのですね?」
奏の言葉に敦成が暗い表情で頷く。
「茉理さんはなぜあんなことをしたのですか?」
「そ……それ……は……」
奏の言葉に敦成が言葉を詰まらす。元々、茉理が母親を刺したのは、敦成があんな言葉を言ったのも一つの原因ではある。しかし、警察にはそのことをまだ話していない。当事者以外、あの時に何があったかはまだ何も知らされていなかった。つまり、奏たちは何があったのかまでは分からない。なので、こうやって敦成に事情を聞いている。
「何があったかは……その……俺にもよく分からなくて……」
敦成が言葉を濁す。
「質問を変えます。あなたと茉理さんや茉理さんの母親との仲は普段はどうなのですか?」
「えっと……その……」
透がそう敦成に質問するが、敦成はその質問にも言葉を濁す。
「ちなみに、あなたは何の仕事をしているのですか?」
透がまた質問を変えて敦成に問う。
「その……し……仕事は……」
敦成の態度に奏たちが疑問を持ち始める。
「今日のところは一旦引き上げます。茉理さんから何か連絡があったらこちらにお知らせください」
透がそう言って一枚の紙を敦成に手渡す。
そして、奏たちはそのマンションを後にした。
「……質問に何も答えませんでしたね」
帰り道、奏がそう言葉を漏らす。
「何か怪しいな……。もしかして、あの人、仕事していないんじゃないか?」
槙がそう言葉を綴る。
「確かにそうかもな。仕事をしているなら何の仕事をしているかぐらいは答えられるはずだしな」
紅蓮が言う。
「今回の事はあの敦成って人が何かカギを握っているかもしれないな」
透がそう考察する。
「茉理さんは確か食品を扱う株式会社で、事務関係の仕事をしていましたよね?そちらで何か情報は得られないのでしょうか?」
「……そっちで当たってみるか……」
奏の言葉に、透がそう返事をして、みんなで茉理の勤めている会社に行くことになった。
「たす……けて……」
布団の中で何かの夢を見ているのだろうか?茉理がそう言葉を呟く。
あの後、美玖たちは茉理を連れてアパートに戻り、布団に寝かせた。病院に連れて行くことも考えたが、茉理の荷物の中に保険証が無かったので、おいそれと病院にも連れて行くことが出来ない。それに、こうなったのには何か大きな事情も考えられる。とりあえず、茉理が目を覚ますのを待つことにした。
「一体、何があったのよ……」
美玖が茉理の掌を握り締めながらそう言葉を呟く。
「死のうとしたくらいだから、かなり追い詰められているってことだよね……」
祐樹が美玖の横で心配そうに言葉を綴る。
「……あっ、メイクだけでも落としてあげようよ。肌にも良くないし……」
美玖がそう言って、洗面所からふき取りタイプのメイク落としを持ってくる。そして、丁寧にメイクを落としている時だった。
「え……なに……これ……」
美玖が茉理のメイクを落として出てきた素顔に愕然となった。