第11話 シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラ

文字数 796文字

 何故この若く優秀なメンバーによる巨大なオーケストラが、南米の国に出現したかというと、1975年開始された「エル・システマ」という教育プログラムにルーツがある。

 この公的融資による音楽教育プログラムは、有志により組織化し、音楽社会運動として実行された。最初は地下駐車場で11人の学生とともに始まったこの活動は、現在ベネズエラに200もの青少年オーケストラを運営している。

 エル・システマ生徒の中には元ストリートチルドレンで麻薬の密売や強盗を経験した者もいるが、こうした者を更生させたり、放課後に子どもたちを音楽に従事させることで犯罪から守る役割を果たしている。


 シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラは、200もの青少年オーケストラから、段階的に選抜された25歳以上の青年からなる精鋭メンバーで組織された。この活動ぶりは早くから欧米に伝わり、ベルリン・フィルの首席指揮者や楽員の耳に入り、メンバーが無料指導したり、アバドやラトルが実際に客演で指揮するほどになり、国外への演奏旅行もしばしば行われている。

 オーケストラのメンバーと同様の教育を受けた指揮者グスターボ・ドゥダメル(1981年生まれ)は、1999年に17歳で音楽監督に就任。国際指揮者コンクールに優勝し、今や新進気鋭の世界的な指揮者として活躍している。現在、ロサンゼルス・フィルの音楽・芸術監督。2026年からニューヨーク・フィルに移籍と発表された。


 このオーケストラの特徴として、普通のオーケストラの約2倍の人数を投入していることがあげられる。それでいて音がクリアなのは、奏者が同じプログラムで教育されていて、奏法や音色が同じで、大人数での演奏の経験が豊富だからだと思われる。

ベネズエラの奇跡:エル・システマ EL SISTEMA 2015

【ここがツボ】初来日のときのプロモーション映像と思われる。うるっときた。

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