セリフ詳細

まぁたしかに、なんでめんどくさい農耕が広がったのか、ってことを考えてきたが、なんでまた国家も広がってきたのか、ってことを考えてみる必要はあるなぁ。というのも、農耕も大変だが、国家もまた維持するのが大変なのだよ。だってそうだろ、下々からすると、税は重くのしかかるし、戦争には駆り出されるしで、付き合いきれないところもあるだろう。実際、「穀物国家」からの逃亡者はたくさんいた。
そんな不幸の拡大再生産装置とも言える国家に、なんでまた人は暮らすようになったのか。そんな国家がなぜ増えていくのか。一考に値するし、国家嫌いなアナーキストの気持ちもわかるってもんだ。一方で、支配者からしても、そんな国家を持続可能なものにしていくのは骨の折れる仕事だろうよ。
とはいえまぁ、この話題はいったんここで区切り、また後からじっくり考え直してみることにし、ちょっと視点を変えてだ、そうだな、改めて社会哲学からもアプローチをしてみようじゃないか。というのも、我はな、今村仁司さん(1942-2007)の〈第三項排除〉という図式が大変気に入っているのだ。出典は、『暴力のオントロギー』(勁草書房、1982)『排除の構造 力の一般経済序説』(ちくま学芸文庫、1992)だぞっと。

作品タイトル:哲学BARへようこそ! - 国家とはなにか?-

エピソード名:  穀物国家の誕生(2)

作者名:千夜一夜読書人  nomadologie

18|社会・思想|連載中|21話|74,412文字

哲学, 思想, 言論, 国家とはなにか, 哲学カフェ

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「哲学カフェ」小説です。
『ソフィーの世界』のようなものだとご理解(ご容赦)ください。
内容に関する間違いの指摘や批判など、大歓迎ですので、ご意見いただき、
随時update訂正していきたいと思います。
そうなりますとまさに「電子版・哲学カフェ」ですね・・・