セリフ詳細

あぁ、王は〈上方排除〉になるだろう。
ただし、A.M.ホカート(1883-1939)『王権』(橋本和也訳、岩波文庫、2012)なんて本を読んでみると、王もまた少なくとも潜在的には〈下方排除〉を通過してきているような気がしなくもない。王の根本的な特徴は、太陽であり、かつ神であるところだ、とホカートはみなしているが、それはさておき、そんな王の戴冠式(即位式)においてはだ、一般論として、死と再生の物語が内在しているという。人としては死に、神として再生するのだ。
こう考えてみてはどうだろうか。王とは、我々の共同体を救済するため、神々の世界へ捧げられた生贄Xである、と(1)で、そのXが、神として我々の世界へ回帰してくるのだよ。〈下方排除〉からの〈上方排除〉だ。

作品タイトル:哲学BARへようこそ! - 国家とはなにか?-

エピソード名:3 今村仁司・第三項排除モデル

作者名:千夜一夜読書人  nomadologie

18|社会・思想|連載中|21話|74,412文字

哲学, 思想, 言論, 国家とはなにか, 哲学カフェ

62,544 views

「哲学カフェ」小説です。
『ソフィーの世界』のようなものだとご理解(ご容赦)ください。
内容に関する間違いの指摘や批判など、大歓迎ですので、ご意見いただき、
随時update訂正していきたいと思います。
そうなりますとまさに「電子版・哲学カフェ」ですね・・・