セリフ詳細

「神は死んだ」で有名なニーチェさんが、生涯最後に記した自伝的な本。
いやはやすごい。

目次にいきなり並ぶ三つの章題が、

・なぜわたしはこんなに賢明なのか
・なぜわたしはこんなに利発なのか
・なぜわたしはこんなに良い本を書くのか

ですよ。

それぞれ、ホントに本気で、ニーチェさん自身がなんでこんなに賢明で利発で、そしてこんな良い本を書くのかをものすごい勢いで綴っています。
その勢いといったらもう天上天下唯我独尊レベル。
自分の書いた「ツァラトゥストラ」は人類というビラミッドの頂点からさらに上空千マイルにまで達していて、読んで本当に理解できる者(超人)がもしいたら、その高みから人間存在を俯瞰できるだろう(ただしドイツ人をのぞく)なんて事を真顔で書いているわけです。(ニーチェさんこの本でさんざんドイツ人ディスってます。ドイツ人なのにね)

そして、「神は死んだ」というコンテクストの意味も、この賢明で利発なところから必然的に導き出されてしまうのです。(哲学論の解説はここではしませんが、ちゃんと超人でない常人の私にもわかりやすく書いてくれています。なるほどなっとく)
難解であろう著作をいくつか並べて(「ツァラトゥストラ」ももちろんあります)どうしてそれらを書いたのかのニーチェさん視点での解説が続き、最後の章、

・なぜわたしは一個の運命であるのか

で、こうした、神や宗教、真理と呼ばれるもの、常識や道徳すべてにどうして戦いを挑まざるを得なかったのか、一般で悪徳とされていることこそが「正しい」行いで、わたし=ニーチェは、なぜその道を堂々と歩まざるを得なかったのか。といったことが綴られています。

難しい哲学書と思って最初寄りついてなかったのですけど、読んでびっくりこんなに見事にキャラが立ってる人の暴言全力疾走文章だったとは。(これ、褒め言葉ですよ。わたしこういう人大好きです。あんまり近くには行きたくないけどねw)
ニーチェさん没年が1900年ですから、100年以上前の人なんですよね。この本を書いた後に精神的に違う世界に旅立たれてしまい、そのまま亡くなられたそうです。
思想的に100年早すぎた感じ。今なら理解できる、100年前の天才の文章とおもいました。

※関係ない(と思う)けど、マイケル・ムアコックの『この人を見よ』ってキリスト教SFがあるんですよね。あれもキリスト教かなりDISってるので、なにか関係あるのかなー?

作品タイトル:らせんの本棚・IV

エピソード名:『この人を見よ』

作者名:神楽坂らせん  K_rasen

58|創作論・評論|完結|104話|95,832文字

レビュー集, SF, ファンタジー, 実用書, マンガ, コミック, その他, もろもろ, なんでも, ござれ

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【電子書籍化しました!】

星図にも載っていない辺鄙な宙域のはるか奥地、銀河の西の渦状椀のそのはての、地味な隅っこのそのまたはずれに、何の変哲もない小さな黄色い太陽があった。
いくつかの惑星がその重力圏にぶらさがって悠久の昔から飽きもせずくるくると回っていたのだが、その中の、大体一億五千万キロメートルほど太陽から離れたあたりの軌道に、これまたぱっとしない青緑色の惑星があり、このあたりでは地球と呼ばれていたそうだ。
その地球の一角で細々と運営されているGoogle+という過疎SNSの中の、これまたはずれのほうに『本が好きコミュニティ』というささやかな本好きがあつまるコミュニティがあった。
これは、その『本が好き』コミュニティにアップされた、【神楽坂らせん】による本のレビューをアトランダムにコレクションする摩訶不思議なレビュー集である。

※レビューの対象は児童文学からファンタジー、SF、コミックから実用書などなど、とくにジャンルは定めていません。本好きがてきとーに手に取って面白かった本を中心にお送りします。

※各話ごとに一冊(または1シリーズ)の紹介を基本にしています。もともとアトランダムに紹介していますので、どの話から見ていただいてもOKです。お好きなお話からどうぞ♪

※「らせんの本棚」①~③までは、某Kindleでひっそりと電子書籍として出版しておりますので、(アンリミテッド会員ならタダだよ!)古き良き時代の電子の本棚をご覧になりたい方は、そちらのほうをご参照ください。

※各レビューに掲載しております書影などの著作権は各出版社・著者に帰属します。

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