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 こういうとモエちゃんは、何度かさよならの手振(てぶ)りをした後、友達のいる部屋へと向かっていった。僕はお風呂に入り、自分の部屋に入った。あまり眠れそうな感じはしなかったが消灯(しょうとう)し、横になっていろいろ考えた。


 大学の先生のSNSパトロールは社会的に必要なことで立派なことかもしれない。普通の子がパパ活をしてる場合がどのぐらいあるのか自分は知らない。でも、モエちゃんのようなケースではこうした活動が根本的な解決になっていないように思える。

 モエちゃんは、親ガチャに(はず)れたということになるのだろうか。もしモエちゃんが家庭や学校に居場所を見いだせる環境で育ったらパパ活をしただろうか?『華麗(かれい)なるギャツビー』にある、誰かを批判したくなったらこの世のすべての人がお前のように有利な立場にあるわけではないことを(おも)(おこ)しなさいという言葉が頭をよぎる。モエちゃんのような未成年が、自分ではどうしようもない、どうにもならないリアルに直面し、社会から糾弾(きゅうだん)されるような、道徳的に、法的に違法なことをするのを批判したくなったら、その前にモエちゃんのような立場に生まれたら自分はどうなっただろうかを想像してからでも遅くはないと思う。

作品タイトル:ビブリオカフェ

エピソード名:歌舞伎町散歩

作者名:本の虫  AnUnknownHand

9|その他|連載中|28話|52,528文字

哲学, 文学, 宗教

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