セリフ詳細

 赤い法服に身を包んだ裁き手は言う。「この犯罪者はなぜ人を殺したか。盗もうとしたのに」。だが、わたしは諸君に言う。その「魂」は血を欲した、盗みではなく。彼は刃の喜びに乾いていた。

 彼のあわれな理性はこの狂気を理解できず、彼をこう説得した。「血など流して何になる」、理性は言う、「折角の機会だ。せめて盗んでやろうとは思わないか。復讐してやろうとは」。

 そして彼はそのあわれな理性に耳を傾けた。その言葉は鉛のように重く、彼を押さえつけた。――だから彼は殺して盗んだ。みずからの狂気を恥たくはなかったのだ。

作品タイトル:もしも敬虔な女子高生が〈神は死んだ〉のニーチェ作『ツァラトゥストラ』を読んだなら

エピソード名:『バレンタイン☆殺人事件』

作者名:神楽坂らせん  K_rasen

304|学園・青春|連載中|46話|125,708文字

哲学, ニーチェ, 学園, 百合風, ラノベ, 神は死んだ, 聖書ラノベ新人賞, 二重人格, もしトラ, もしかして実用?, リアル本紹介, 超解釈

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☆ 女子高生がニーチェを読む!☆

敬虔なミッション・スクールの図書室地下で夜な夜な繰り広げられるという秘密の読書会。
学校では閲覧禁止のはずのニーチェの『ツァラトゥストラ』。
禁じられた哲学書を回し読む少女達は、いったい何を感じ、想うのか。
なぁんて難しそうな雰囲気を超解釈で吹っ飛ばすおちゃらけ哲学もどきの百合風ラノベ。
気がつけばニーチェ以外の本の紹介も出てきて、紅茶にお菓子をいただきながら楽しげに読書会の夜は更けていきます。