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地の文の話。
以前のヤンマガ企画の時に改めて漫画を調べてみましたが、何気ない一コマにも多数の意味が込められて、絵で表現されていることがわかって新鮮でした。
漫画では一言
「えっ」+絵
と表現されることでも、小説だったら
「えっ!? 何のこと!?」
彼は強張った笑みを口元に浮かべつつ、声を上擦らせた。

まで描写しなくてはいけません。
色々な漫画をそういう目線で見てみると「一文字でも文字を少なく」「絵で表現する」という作者の工夫が読み取れて面白かったです。

ここは小説と漫画で混同してはいけなくて、小説目線では絵を描写で補間する必要があります。
例えば上記の例で「えっ」だけでは、彼の心理は描写できません。このままでは無表情に一言漏らした、と受け取られることでしょう。例えトークメーカーのようにキャラ絵を付けたとしても、表情差分までなければその内面はわかりません。
「えっ!? 何のこと!?」という会話文だけでも、正確には描写できません。この場合は「実際に知らない」のか、「とぼけている」のかが、読者からは判断できません。
しかしその情景を更に地の文で描写することによって、彼が「図星を指摘され、それを誤魔化そうとする後ろめたい気持ちがある」という心理まで読者は読み取れることになるわけです。

さて、ではそんな描写のどこまでが「読者が求めるラインなのか」というと、「筆者が伝えたい情報がきちんと含まれているか」ということに尽きるのだと思います。それをするには客観的視点で自分の描いた文章を「読む力」が必要になる。
つまり「読む解く力」というのは書く上でも必要な能力で、それをするにはやはり「読む訓練」というのは必要なのかとは思います。
ただしあくまでも文章読解力を身につけるのは「文章を読むこと」なので、「小説や本に限らない」とは思います。
とはいえ、ツイッターなどの文字数制限があるものでは頻繁に省略されるので読解力を鍛えるには向かないとは思いますが……。
論文や報告書などはありではないかと思っています。

あと、個人的な小手先テクニックですが、こういう心理描写はキャラクターにオーバーリアクションさせるとわかりやすいです。
洋画などで「あきれた。あなたよりなら動物園のチンパンジーの方が考えてるわ」とか言いながら、肩をすくめる動作したりするじゃないですか。でもあんな動作 (アメリカ人はともかく) 日本人は普段絶対やらない。あそこまでじゃなくても、説明するときにいちいち人差し指立てたりとか、しませんよね?
でも漫画とかではリアリティがなくとも結構頻繁に使ってます。それは絵的にわかりやすいからです。
そういう表現、地の文で使うとめっちゃ楽です。読者に登場人物が何を考えて何をしているのか、ズバリ伝わるかと思います。
僕が書く時は、やたら指を立てたり首を振ったり肩をすくめたり指差したり指を振ったり腕を組んだり視線を伏せたり移したりうつむいたりうなだれたりします。
映画の演出など、役者さんを表現の先生として見たりするのも描写の訓練になるかもしれませんね。

作品タイトル:【移転しました】ユーザー座談会β

エピソード名:オンライン座談会 会場 Part3

作者名:案内人メーコ  talkmaker

71|創作論・評論|完結|5話|81,808文字

座談会, 創作議論

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こちらは、ユーザー同士が創作論を議論できる『ユーザー座談会β』です。


本会場は以下に移動いたしました。
http://talkmaker.com/works/9fc168fc5566afa5d5fcc459c52373f5.html


個別議論でさらに突き詰めたい内容がありましたら、『創作相談BBS』や『しゃべログ』などもご活用ください。
多くのユーザーさまのご参加をお待ちしています。

(ユーザー座談会β開始日:2017年8月31日)
(ユーザー座談会β公式化:2017年9月8日)
(こちら締めて、『ユーザー座談会』に移行いたしました:2017年9月26日)