セリフ詳細

ちょっと視点を変えてみようか。めんどくさい仕事ならさ、いっそ他人にやらせてしまおう、とは思わない? この場合の他人とは、「我々」という共同体にとっての他人、共同体の外部で暮らす人たちだろうよ。
つまり簡単に言うとだ、そいつらを襲って捕まえて、奴隷にしてしまうのさ。農耕とかいう苦役は奴隷にでもやらせておいて、自分たちはタダ飯食らえばよい、と考える輩がでてきても不思議じゃないだろ。
メソポタミアで国家と言えそうなものがでてくるのは紀元前3千年も昔のことで、農村がみられるようになってからだと2千年も経ってから後のことなんだが、出土した粘土板にな、戦争捕虜やら奴隷のことがでてくるんだ。その存在が確認できる。
ちなみに後の世の古代ギリシアだと、たとえばアテナイ全人口の過半数が奴隷だったと言われてるし、初期ローマ帝国でも3分の1ないし4分の1は奴隷がいたらしい(3)メソポタミアでは、ここまで大規模な奴隷制があったとする証拠はないらしいが、だからといって戦争捕虜が穀物生産にまわされていない、ということにはならな。
めんどくさい仕事を担ってくれる捕虜を連れてくることがな、間違いなく、戦争する目的の一つではあったろう。

作品タイトル:哲学BARへようこそ! - 国家とはなにか?-

エピソード名:  穀物国家の誕生(2)

作者名:千夜一夜読書人  nomadologie

18|社会・思想|連載中|21話|74,412文字

哲学, 思想, 言論, 国家とはなにか, 哲学カフェ

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「哲学カフェ」小説です。
『ソフィーの世界』のようなものだとご理解(ご容赦)ください。
内容に関する間違いの指摘や批判など、大歓迎ですので、ご意見いただき、
随時update訂正していきたいと思います。
そうなりますとまさに「電子版・哲学カフェ」ですね・・・