セリフ詳細

事実は小説よりも奇なり。っていうけれど、現実のほうがへたな小説よりめっちゃ熱いのですね。
本気で宇宙に行こうとした男たちのリアルなドラマがここにあります!

実際に今も続いている宇宙への挑戦の、そのとても大きな一歩目の詳細な記録です。

これまで、宇宙へ行くのは当然のごとく、大きな「国」という力が必要でした。NASAはもちろん、ロシアの宇宙ロケットも米ソの宇宙開発競争があってこそ。個人の力で宇宙へいくのなんて夢のまた夢。
でも、その夢に挑戦して、政府の力をつかわず、民間の力だけで宇宙のとば口へ、高度100kmを越え、人間を乗せたロケットを飛ばすこと。「夢のまた夢」から、たんなる「夢」へ、さらには実現可能なチャレンジとして。
越えられないカーマンライン(高度100km)の壁を、不屈の意思と、努力と、チームワークと天才の知恵とちょっとの幸運と時代の流れと、その他もろもろ、あらゆるエネルギーを注いで手繰り寄せた、ほんとにもう熱い熱い物語。

てっきり最初は表紙の写真、スペースシップ・ワンの開発物語かと思って読み始めたのですが、プロローグで飛行中危機に陥るスペースシップ・ワンが出てきて以降、いきなりアポロの月着陸時代に時はさかのぼり、よく知らない(失礼)ピーター・ディアマンディスという宇宙に憧れる少年が登場。以後、彼を主人公にして物語が進みます。
スペースシップ・ワンを作ったのは飛行機設計の天才、バート・ルータンさんだということはさすがに私も知っていたのですが、このピーター君ってだれ? というぐらい無知状態で読んでいました。
しかし、彼、ピーター・ディアマンディスこそはこの無謀ともいえる宇宙飛行コンテスト、Xプライズの発案者で創設者だったのです。

あてにできない政府が宇宙開発に後ろ向きになる中、彼はMIT(マサチューセッツ工科大学)在学中に宇宙を目指す学生の会を開き、さらにその会を拡大して国際宇宙大学(ISU)を創設し(国際大学を創設ですよ!)、誰もが反対して出資を断る中、あの大西洋無着陸飛行を行ったリンドバーグに倣ってXプライズを創設してしまいます。

この本は、ただ一機の宇宙船を作って飛ばすだけ(それだってものすごいことですが)の話ではなく、その産業をイチから興してしまったピーター・ディアマンディスの超人的な戦いの記録なのです。

バート・ルータンはもちろん、ジェフ・ペゾス、イーロン・マスク、ポール・アレンなどなど、どこかで聞いた名の人たちを巻き込んで、彼らの視点と興味を宇宙にまで持って行ってしまった、ほんとにもうすごい人なのでした。いままで知らなくてごめんなさい。

もちろん、ピーターだけでなく、日本語版タイトルの通り、Xプライズに挑んだ様々なチームの戦いも書かれています。が、やっぱり全てのきっかけはXプライズを作ったピーター・ディアマンディスの功績なのだろうなあと思いました。

(でも英語版のタイトルのほうがクールでいいなあと思いますw)

過去の偉人でも空想の物語でもなく、今、まさに進行中の物語。
ロケットや衛星軌道とプロジェクトXに燃える人には絶対のおすすめです。

作品タイトル:らせんの本棚・IV

エピソード名:『Xプライズ 宇宙に挑む男たち』

作者名:神楽坂らせん  K_rasen

58|創作論・評論|完結|104話|95,832文字

レビュー集, SF, ファンタジー, 実用書, マンガ, コミック, その他, もろもろ, なんでも, ござれ

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【電子書籍化しました!】

星図にも載っていない辺鄙な宙域のはるか奥地、銀河の西の渦状椀のそのはての、地味な隅っこのそのまたはずれに、何の変哲もない小さな黄色い太陽があった。
いくつかの惑星がその重力圏にぶらさがって悠久の昔から飽きもせずくるくると回っていたのだが、その中の、大体一億五千万キロメートルほど太陽から離れたあたりの軌道に、これまたぱっとしない青緑色の惑星があり、このあたりでは地球と呼ばれていたそうだ。
その地球の一角で細々と運営されているGoogle+という過疎SNSの中の、これまたはずれのほうに『本が好きコミュニティ』というささやかな本好きがあつまるコミュニティがあった。
これは、その『本が好き』コミュニティにアップされた、【神楽坂らせん】による本のレビューをアトランダムにコレクションする摩訶不思議なレビュー集である。

※レビューの対象は児童文学からファンタジー、SF、コミックから実用書などなど、とくにジャンルは定めていません。本好きがてきとーに手に取って面白かった本を中心にお送りします。

※各話ごとに一冊(または1シリーズ)の紹介を基本にしています。もともとアトランダムに紹介していますので、どの話から見ていただいてもOKです。お好きなお話からどうぞ♪

※「らせんの本棚」①~③までは、某Kindleでひっそりと電子書籍として出版しておりますので、(アンリミテッド会員ならタダだよ!)古き良き時代の電子の本棚をご覧になりたい方は、そちらのほうをご参照ください。

※各レビューに掲載しております書影などの著作権は各出版社・著者に帰属します。

※電子書籍版は https://www.amazon.co.jp/dp/B07BPCVZBL となります。2018年3月26日夕刻より5日間無料キャンペーンしますのでぜひどうぞー♪