セリフ詳細

レイラ・ドリス・マクレーン様


突然の手紙で、あなたは驚かれていることと思います。

人生を振り返り、自分はなにひとつ成し()げることができず、無駄に時間を過ごしてきましたが、残された人生をどう生きていくかと考えたとき、心残りはあなたのことだけ。


あの日、あなたと人生を共にすると誓ったときから、私の心はあなたのもの。

私の出征(しゅっせい)の日、あなたは泣きながら、声がかれるんじゃないかと思うくらい、私の名前を叫んでいましたね。

できることなら、あのとき汽車から降りて、泣くあなたを抱きしめたかった、何度そう思ったことでしょう。


これまでの人生のなか、あなたを(うら)むことはなかった……、いいえ、あなたを恨んだこともありましたが、どうしても恨みきれませんでした。

なぜなら、私は今でも変わらず、あなたを愛しているからです。


寂しい私に、あなたの残りの人生を私に預けてくれませんか。

ただ、たまに手紙をくれるだけでいいのです。



    R.C.ウォーズリー

作品タイトル:ふたりの嘘つきさん~嘘からはじまった恋~

エピソード名:#13 私が“レイラ・ドリス・マクレーン” になる![8]

作者名:聖ゆうな  rukiA1119Merci0z

49|恋愛・ラブコメ|連載中|22話|40,408文字

恋愛, 嘘, 戦争, 共幻コン

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それは祖母の一言からはじまった。祖母には文通相手がいる。その相手は、昔、結婚を誓い合った相手。祖母の願いは、自分に万が一のことがあったら、自分になり切って手紙を書き続けてほしいという。祖母になり切って手紙を書き続けていたある日、文通相手が会いに来ると言って!

※写真素材は「足成」さんと「Pixabay」さんからお借りしています。