セリフ詳細

SF漫画界の個人的レジェンド。佐藤史生先生の傑作です。

私の中の「よくできたファンタジーはSFと区別がつかない」という確信はこのお話から生まれた気がします。


神官と宗教に束ねられた「谷」と、ある理由よりその谷に隔離された王国の第一王子、幻視者、大神官、そして竜を使役する人々……などなどが登場して世界観を説明する第一話は、今から思えば確かにSFなのですが、あまりにしっかりとした異世界すぎて(?)読み始めはてっきりどこか別の世界を舞台にしたファンタジーだと思っていました。


その思い込みのままこの異世界の宗教感や、美しい人々のドラマに心奪われて読み進めていくと、だんだん隠されたギミックに気が付いてくるのです。

そのチラ見せの仕方が本当に巧いのですよねー。ネタバレになってしまうので一つ一つは書きませんが、この「あれ、もしかして?」から「やっぱり!!」に至るアハ体験の連続はほんとうに気持ちがよく、「よくできているなあ」と感心しっぱなしなのです。


とまあ、お話の作り方を意識しちゃうのは私の悪い癖なのですけれど、そんなことを脇においてもこのストーリーメイクは素晴らしい。隅々まで考え抜かれている傑作なのです。しびれますよー。

もうちょっと評価高くてもいいとおもうのだけれどなー。


作品タイトル:らせんの本棚・V

エピソード名:『夢みる惑星』

作者名:神楽坂らせん  K_rasen

134|創作論・評論|連載中|100話|100,031文字

レビュー集, ネタバレなし, なんでもかんでも, アトランダム, コミック, 小説, SF, 技術書, いろいろあるよ

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地道に不定期更新。神楽坂らせんが読んで「グッ!」と来た本達の紹介レビュー集です。
アトランダムに食指が動いた本を乱読しています。
基本、ネタバレはなしで、なるべく内容をバラさずに本の面白さを紹介するように心がけています。
ですから対象本を読む前に読んでいただいてぜんぜんオッケー!
読んだあとから読んでいただくと、「そうそう!」って言いたくなる、そんなレビューにしているつもりです。

順番関係なくどこからでも気になったタイトルをどうぞー♪

※Google+の『本が好き』というコミュニティへの投稿が元になっています。2019年4月にGoogle+が閉鎖されてしまうという話もあり、この先どうなっちゃうのか心配ですが、まあいけるところまでまったり行こうとおもいます〜。