セリフ詳細

ぶっちゃけ、もっと調べてみないとよくわからん。

ただ、そんなことより、ファラオは〈宗教的権力〉を体現している、と同時に、ここがポイントなのだが、〈軍事的権力〉と〈政治的権力〉も統合しているんだ。

そして、それが官僚組織として顕在化していく。
紀元前1500年代の半ば頃から新王国時代というが、この時代になるとだ、ファラオを頂点とし、宰相がいて、その下で宗教部門、軍事部門、政治部門の三機関がな、いよいよ整ってきている。宗教部門のトップには神官長、軍事部門には最高司令官がいた。政治部門では地方に知事と市長が配置されるとともに、中央では租税などが管理されていた。
このように、ファラオはな、〈宗教的権力〉〈軍事的権力〉〈政治的権力〉を一身に体現すると同時に、それぞれ三権を執行していくための官僚組織、統治機構をもっている。
ちなみに、この場合の官僚制というのは、当たり前だが、現代のように公的にシステム化されたものではない。原理的に、あらゆる富は王のものであり、それを管理するのは王に臣従する官僚たち。ドイツの社会学者マックス・ウェーバー(1864-1920)はな、これを家産官僚制と呼んでいるぞ(1)
まぁそれはさておき、簡単に図式化しておくと、三権がいったん〈上方排除〉されて王という中心に集まり、その後で、今度は家産官僚制として「下へ」おりてくるのだよ。 
あるいはこうも言える。首長制社会のようにな、三権がさ、首長、戦士、シャーマンと、バラバラに分有されている状態だと、中央集権的な官僚制は立ち上がってこれないのだよ。

作品タイトル:哲学BARへようこそ! - 国家とはなにか?-

エピソード名:7 古代エジプト

作者名:千夜一夜読書人  nomadologie

18|社会・思想|連載中|21話|74,412文字

哲学, 思想, 言論, 国家とはなにか, 哲学カフェ

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「哲学カフェ」小説です。
『ソフィーの世界』のようなものだとご理解(ご容赦)ください。
内容に関する間違いの指摘や批判など、大歓迎ですので、ご意見いただき、
随時update訂正していきたいと思います。
そうなりますとまさに「電子版・哲学カフェ」ですね・・・