セリフ詳細

「カーネーション」


 一人にしないで。

 四角い画面の中で、女が一粒の涙を流した。


 ◇


 さすが女優だわ、母さん。

 一人にしないで、なんて。

 笑っちゃうわね。私はいつも一人だった。

 私はおばあちゃんに育てられたと思ってるし、あなたには母親としての役目なんて、端から期待していなかったわ。

 だからといって、別に親子の仲が悪かったわけじゃない。

 親子で一緒に腕を組んで、おすすめのショップでお買い物をするなんていうバラエティ番組にだって、出たことあったわよね。

 私のお誕生日には必ず素敵なレストランとプレゼントが用意されていたし、私だってそう。母の日には、毎年欠かさずカーネーションを贈った。

 いろいろなカーネーションを贈ったわね。黄色にオレンジ、紫だったり、斑入りのものなんかもあったわ。


 でもね、一つだけ送ったことのない色があるの。


 赤いカーネーション。

 ――母への愛。

 

 あなたは気がついていたかしら?

 

作品タイトル:花言葉ものがたり

エピソード名:カーネーション

作者名:観月  tukinoniwa

132|その他|連載中|22話|23,297文字

花言葉, 掌編

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花言葉をお題にした掌編集を、作りたいなと思いました。
参加してくださる方→好きな花を選んで頂き300-500程度の小さなお話を投稿してください。
作中、特に表記のないイラストは、全てイラストACさんよりダウンロードした、夢宮愛さん(https://www.ac-illust.com/main/profile.php?id=aichinnokobeya&area=1)の作品です。
小説だけでなく、お花にちなんだイラストや写真の投稿も歓迎です。