セリフ詳細

たとえば、こんな記述がある。スルーしてしまいがちだけどね。

【神の永久とか偏在とか全知全能とかいうようのことも、皆この意識統一の性質より解釈せねばならぬ。時間、空間は意識統一によって成立するが故に、神は時間、空間の上に超絶し永久不滅にして在らざる所なしである。】(P430)

とりあえず今のところはこの「意識統一」を、単純に〈はたらき〉と読み替えておいてくださいな。

ぼくはね、やはりアインシュタインの相対性理論を想起してしまうよ、つい。

西田は、あらかじめ絶対的な時間や空間があるのではない、とみている。

そうではなく、時間も空間も〈はたらき〉と共にあり、〈はたらき〉によって生じるものだ、とみているよね。

それもそのはずで、そもそも実体をみとめてないんだからさ、

時間も空間も、実体的なものだとは考えていないんだよ。

作品タイトル:西田幾多郎を読む

エピソード名:『善の研究』を読む⑤

作者名:千夜一夜読書人  nomadologie

19|社会・思想|連載中|9話|32,364文字

哲学, 西田幾多郎, 善の研究

15,905 views

哲学者・西田幾多郎の著作を順番に読み進めていきます。