セリフ詳細
さて、実体がないはずなのに、いつも実体があるかのように立ち上がってくる、のは、なぜか?
答え。そのように、実体がないはずのものを、実体があるかのように立ち上げてくる〈はたらき〉が、この世界には満ち満ちているからだ。
そして、その〈はたらき〉こそ、ブラフマンだ。
ブラフマンの〈はたらき〉により、「空」は「色」となって顕現するが、やはりそうではあっても、「色」はその本性において「空」なのだ。
色即是空、空即是色。
そうなると、ここで最初のポイントが訪れるのだが、
本当の意味で存在していると言えるもの、真実在とは、すなわち、この〈はたらき〉のみ、ということになる。
それぞれの「色」は真に実在しているとは言えない。なぜなら、ホントは「空」だから。
作品タイトル:西田幾多郎を読む
エピソード名:『善の研究』を読む②
作者名:千夜一夜読書人 nomadologie
★19|社会・思想|連載中|9話|32,364文字
哲学, 西田幾多郎, 善の研究
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哲学者・西田幾多郎の著作を順番に読み進めていきます。