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 宮島未奈の『成瀬は天下を取りにいく』が、本屋大賞を受賞したという知らせを聞いたとき、文学賞に(うと)いぼくは、そういう文学賞があるんだなと思った。

 作者のホームページには、「二位の君」という作品が公開されており、一行目を読むと、その作品世界に入ってしまう魔力があるように思えた。中高生が読みやすい、ネットスラングを用いた文体は、なるほど、これが小説家の筆力というものか。そう思った。


 言葉の力、文学の力、詩の力。浜本さんは主催者挨拶で、能登や台湾の震災に触れ、電気がなくても、陽の光で読める紙の本には力があると確信していると言っていた。

 街は復興するだろう。それは工学の力だ。では本の力とはなんだろう・・・。インフラの復興が不十分な状況で、被災による心の傷を負ったひとに求められる言葉の力とはどんなものだろう。

 ぼくは、東日本大震災後、『生きる』という詩が再注目されたことを思い出した。えらいお坊さんが薦めていた坂村真民を思い出した。本を読むことで、苦難を乗り越える力を与えられる、そういうこともあるのかもしれない・・・。

作品タイトル:ビブリオカフェ

エピソード名:本屋大賞

作者名:本の虫  AnUnknownHand

9|その他|連載中|28話|52,528文字

哲学, 文学, 宗教

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