セリフ詳細
〈独白〉
いかにも、勝手にこんなことを決めてしまって怒っているのも当然だ、だがしかし、私はお前の実力をどうにも発揮させてやりたかったのだ。否、己の欲望にかこつけて、ただ見てみたかっただけといったほうが正しい。この大会がなくんば、お前はこの片田舎で成年し、何をするでもなく凡常の縁談も結び、その実力をいかんなく発揮することも無く、旦那を引き立て/\生きていく人生を選択したことだろう。持ち前の才能がありながら、それは余りに勿体が無いではないか。あんな出場条件が付いている手前、短兵急におまえの婚約を進めてしまったわけだが、もしこれがスィンディーナの息子以外だったらば、こんなことは允さない。世界一愛する娘が、半端な男と縁を結ぶなどもっての他だからだ。どうかそれは、わかっておくれ。
エルフの都で大会が開催される。それは最も優れたエルフの男女を決める為の祭典だった。みずからの娘であるメイの勝利を確信するイルビスは、ジェムナルとの結婚を目論むフローリアに金を貸す。この証文が波紋を呼び起こし、栄光をめぐる物語の幕は開いてゆく。
戯曲
なろうに投稿したもの