セリフ詳細

ところで、初期「穀物国家」というのはさ、世界全体で眺めたら、まだまだ例外的なものだったと考えたほうがいい。大半の人は「穀物国家」の外で暮らしていた。

そういう人たちを「穀物国家」の内側から眺めるとだ、野蛮人、ということになるんだが、というのも、たびたび略奪しにやってくるからね。

でも野蛮人とレッテルを貼られた側からするとだ、そこは草原地帯やら山岳地帯やらで「穀物国家」を育む土台がなかったわけで、別様の生存戦略をとってきたにすぎない。
定住して農耕して「穀物国家」ができて、とかいう、単線的かつ普遍的な発展段階を夢想しちゃいけない。その土地その土地にあったライフスタイルがあり、その中の一つからたまたま「穀物国家」が生まれてきたんだ。

たまたま、と言ったのは、「穀物国家」ですら、その誕生までには随分と時間がかかっているし、いろんな要因が重なった結果なんだってことを示しておきたいわけ。

作品タイトル:哲学BARへようこそ! - 国家とはなにか?-

エピソード名:  穀物国家の誕生(2)

作者名:千夜一夜読書人  nomadologie

18|社会・思想|連載中|21話|74,412文字

哲学, 思想, 言論, 国家とはなにか, 哲学カフェ

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「哲学カフェ」小説です。
『ソフィーの世界』のようなものだとご理解(ご容赦)ください。
内容に関する間違いの指摘や批判など、大歓迎ですので、ご意見いただき、
随時update訂正していきたいと思います。
そうなりますとまさに「電子版・哲学カフェ」ですね・・・