橋の上で生活することの一つの哲学的考察

作者 shozoshozo

[ファンタジー]

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「あ」のつく人は今日、東京に入れません、という妙な告知をラジオで耳にした。都内に出勤したまま戻らない妻を探しに多摩川を渡ろうとするが橋は封鎖されている。侵入すると橋の上で暮らすつもりか、と尋ねられた。そうではなく妻を探しているのだ、と答えると、矢印屋を紹介される。橋は迷宮の様相を呈しており、妻は見つからない。声をかけてきた女に今度は「詩人サービス」を案内され、背中に文字を書き込まれた。実はその女こそ妻なのではないか、という疑惑が浮かび、橋を所有している企業の関与も疑われる。明け方、妻の顔も思い出せないまま橋を去るかどうかの選択を迫られる。第94回文學界新人賞第二次選考通過作品。

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