はなむけ、櫻花一片
鬼屋敷の呪いを解けば。
黄泉還った幼馴染は、二度目の死を迎える――。
二月初旬。当主就任の儀を数ヶ月後に控えた若桜雨称は、いつものように足を伸ばした鬼屋敷家の屋敷で、幼馴染の凄惨な姿を発見した。
家主が居なくなって、数日後。
屋敷を訪れた彼の眼に映ったのは、あの日紛れもなく死んだはずの柑奈の姿だった。
どうして彼女は死んで、黄泉還ったのか?
幼馴染の不可解な死因を調べるうちに、雨称は鬼屋敷家にまつわる、或る怪異の存在に辿り着く。
鬼屋敷の呪い。それは古から鬼屋敷家の者を徐々に蝕んでゆく、逃れられない血の呪縛であった。
「私を黄泉還らせたのは、貴方自身だって。
雨称が一番分かっているんじゃありませんか?」
タイムリミットは、桜が散る頃までの三ヶ月。
これは祓い屋としての禁忌を唯一犯した、
ひとりの男の物語である。
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