セリフ詳細

 息を合わせる間をおいて、二人は少しだけ壁際から顔を出して中を覗いた。

 そこは幅10メートル奥行きはその倍の20メートル以上ありそうな、広い空間だった。全体的に白を基調とした空間で、安楽椅子に腰掛ける白髪白ひげを蓄えた老人が杖を持ち、入り口から覗くヨウコとレイカの方を見つめていて、その後ろにはピアノを引く少女とその伴奏に合わせて歌う少女がいる。他にも西洋風の立派な調度品が壁沿いに並べられていてどれも白で統一されていた。椅子に座る老人から少し離れた場所に、材質は分からないけど白色の立派なテーブルと椅子が据えおかれていた。そして部屋の奥には更に奥へ続く同じようなアーチ型の出入口が開いていた。

 老人は黒い上下のスーツを着こなしたきちんとした身なりで、右手に白い杖を持っていた。ピアノを演奏する女性その横で魔笛を歌う女性二人も、それぞれ青と赤の上等なロングドレスを着ていて立派な身なりをしている。その顔をよく見ればヨウコとレイカと歳の変わらないうら若い人間に見える。

作品タイトル:とある廃墟ビルディングにて~天国と地獄編~

エピソード名:第7話

作者名:Tadashi_Kimura

3|ホラー|完結|16話|75,097文字

オカルト, ホラー, 怪談, 黄昏症候群, 心霊スポット, 都市伝説, 村山台駅, 雛城高校, 行方不明, 女子高生

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学校を終えて下校中の女子高校生二人組が、最近耳にした、女の幽霊の声が聞こえるという、とある廃墟ビルディングの噂話を口にした。一人がスマホを取り出して、その廃墟ビルを探索して撮影したオカルト系YouTuber怪異シーカーズの配信動画をみている内に、好奇心をくすぐられた彼女たちは、まっすく帰るための駅には向かわず、得体のしれない何か背中を押されたかのように、その駅からそう遠くないところにある噂の廃墟ビルディングへと向った。その場のノリで見に行ったにすぎない廃墟で彼女たちが見たものとは‥‥。

これは一般小説で書いた作品を、チャットノベル化してみたテスト作品だったのですが、楽しくなってもうこっちをメインで書いてます。あとこれは、必ずしも連続性のない『とある廃墟ビルディングにて』のシリーズ姉妹作品です。