第1話

文字数 887文字

土曜はせめて

土曜はせめて
何ものにも追い立てられたくない
私たちはいつもいつも何かに追われて
急き立てられるように慌ただしく過ごしている
日々 仕事に追われながら それにまつわる
人間関係だとかもろもろの厄介ごとに
追い立てられ傷つき 心をすり減らして
何とか一日一日を溜息つきながら生きている
だから 土曜はせめて
何ものにも追い立てられたくない
日曜日になるとすでに明日からまた始まる
仕事の日々に気持ちがどす黒く曇ってしまうのだから
土曜はせめて 新聞にも本にもテレビにも
散歩にも 外出にも そして 詩にも
追い立てられることなく
ひとり静かに部屋で過ごしたいのだ

いったい いつになったら
追い立てられる生活から解放されるのか
仕事をやめて いわゆる年金生活に入ったら
この追い立てられる生活から脱け出せるのか
煩わしさの最大の原因となっている
仕事からは勿論 解放されるだろうが
たとえ 毎日が日曜日の生活になったとしても
おそらく私は何かに追い立てられ続けるだろう
生きている限り何かに追い立てられ続けるだろう
だから いつになっても
土曜はせめて
何ものにも追い立てられたくない

土曜は永遠なれ!


ファンレターさまの紹介

 土曜日の魔法

 鋭い視点にハッとさせられました。土曜日はせめて…と思う気持ち、よくわかります。土曜日が一番好きな人は多いのではないでしょうか?子どもの頃、土曜日は半ドンで昼には下校し、家で母が作った昼ご飯を食べるのが楽しみでした。みんな心がウキウキしているのが、声や行動にはっきりと表れていました。それは大人になっても同じです。土曜日の魔法とでも言うのでしょうか。金曜日の夜から幸せ気分で、半ドンもない今では土曜日の朝は至福の繭玉の中で微睡んでいます。せっかくの魔法時間を外出に使うのも、趣味に使うのも楽しいものですが、何もしないという至極の楽しみを満喫してみたいものです。しかしそこは私も勤勉な日本人。いつも何かに追われ続け、何かをしていないといけない気がして土曜日だから頑張ろうとしてしまいます。土曜日は瞬く間に消え、日曜日の夜は現実に引き戻される…人は一生のうちに幾度も経験するのでしょう。









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