LGBTPZN

文字数 2,562文字

 統一地方選が開始されたある日。ベテラン候補が聴衆たちを前に叫ぶ。
「みなさん! 時代は多様性です! LGBTの人たちの人権が守られれば、私たちの暮らしはもっと良くなる。そうは思いませんか!?
 声を枯らし、涙ぐみながら訴えかける候補者に、聴衆の一人が問いかけた。
「それで……我々の暮らしは?」

 とまあ、一つ思いついた小咄を載せてみたわけだけど。
 よくよく考えると確かに、いろいろとおかしい。
 そもそもとして。
 LGBTの人権ってなんだ?

 その前に、人権とは何か?
 公民の教科書が述べるには、

 1:生存権
 2:財産権
 3:社会権
 4:請求権
 5:参政権

 の五つだそうな。
 では?
 いわゆるLGBTに属する者たちは、いずれかの侵害を受けていると?
 例えば、街中を歩くたびに、
「ホモを殺せ!」
 とか
「レズは不健全だから、この俺様が正しい指導をしてやるぜぇ!」
 と襲われたり?
 ……どこのエロ漫画だ、それは?
 そういうのはフィクションであって、作家の妄想にすぎない。
 一神教圏ならともかく、日本でそういった実話は寡聞(かぶん)にして聞かないのだが。
 つまりこれらは、俗にいう啓典の民が持つ宿痾(しゅくあ)であろう。

 でも、でもでも!!
 トランスジェンダーが、変な目で見られたりするじゃないですか?
 そんな声が挙がりそうだ。
 だが、ちょっと待て?
 一般的でない人が、奇異な視線を投げつけられるのはよくあることなのでは?
 ターバンを頭に巻いたひげ面の14歳が、教室にいたら?
 スカーフを被った女の子がいきなり話しかけてきたら、どう?
 自分とは違うと感じた相手に対しての、当然な反応じゃないの?
 つまり彼らは――こちらの内面について文句を言っている。
 正しくは、自身の脳内妄想を相手に投影して、非難してるわけだ。
 こういうのは大抵、自分がそうだから、お前もそうに違いない。という話でしかないのだけれども。

 要するに。
 この日本では、一神教由来の同性愛差別はない(に等しい)。
 歴史を(かんが)みれば、戦国武将は男色(ホモ)が嗜みだったほど。古事記でも小碓命(おうすのみこと)、すなわちヤマトタケルが女装してクマソを討ったのは有名だろう。
 女性の天皇だって何人もいたし。
 だけでなく、斉明天皇が男装して弓を引いた、みたいな話まである。
 それに女形(おやま)は?
 
 さらにさらに!
 椿(つばき)彩奈(あやな)やら、中村(なかむら)(あたる)やら、はるな愛だって、ある意味活躍してるではないか!!

 ……とまあ、いきなり話が俗っぽくなったわけだけれど。

 上記のはタレントだから――そういわれるかもしれない。
 まあ、そういう面もあるだろう。
 けど、同性婚が認められないのは差別との主張は言いすぎだ。
 法の下の平等に反す!
 きっとこうなじるはずだけど、でも反論させてくれ。

 だったら、ペドやネクロフィリアの「人権」も守らなきゃおかしいだろ!?

 そんなことを昔言ったら、自称ゲイで、難民ウェルカムな活動家は何と返したか?
「小児性愛者と同性愛者を同列に扱うのは間違い!」
 だそうな。
 さっぱり意味が解らん。
 ホモとペドの違いだって、何に欲情するかの差でしかない。一般人からすれば、そして忌憚(きたん)なくいうなら「どっちも気持ち悪い」んじゃないのかね?
 性的指向と嗜好は別物――とは、所詮アングロサクソンあたりが考えた詭弁だろう。
 彼らは、何かを包摂するために、別のものを排除する伝統を持つ。
 白人の平等を達成させるべく、黒人と先住民を貶めた。
 アジア人と先住民を統合した今、それでも黒人だけがのけ者にされ続けている。
 その文脈で考えると。
 ホモやレズに市民権を与える代わりに、別の誰かを追いやっているのは、想像に難くない。
 それが何者なのかは分からないが。

 ともあれ。
 最初に戻ると、LGBTの人権など存在しない。
 ある属性を持つ個人が、多数派と同じことができること。
 これを希求するなら、どうしてそれがLGBTだけなのか、という批判を免れるだろうか?
 この手の理想を謳う人たちは、ただたんに政治利用しているだけだ。
 
 問題点を挙げるとしたら、

 1:LGBT以外の異常性癖を持つ人たちが、どうして手を差し伸べられないのか?
 2:LGBT内(あるいは外)で権利が対立した時の調整をまるで考えていない。
 3:多数派にさらなる負担を強いて、真の社会問題から目をそらす。
 4:法の支配を軽んじて、人治主義に陥っている。

 などだ。
 とどのつまり。

 法の下に平等であるなら、ある属性という理由で特別扱いは許されない。
 それ以前に、ホモもレズも、トランスなんちゃらも、互いに利害が対立する。あるいは今話題の、トランス団体とフェミニストが女湯への入浴をめぐって抗争したり。
 最もまずいのは、今論じるべきがこんなくだらないことではないことだ。
 日本が直面してる危機は、少子化であり、自由貿易による主権の縮小なのだから。
 同性婚なんぞより、貧困から結婚できない男女をなぜ救済しないのか?
 そして法も軽んじている。
 事実婚や重婚、児童婚、あるいは冥婚に異類婚。これらがなぜ、多数派と同じ扱いでないのかを考えてみてはどうか?
 憲法で禁止されてないから同性婚は可能、という言説には正気を疑う。
 イスラム教徒が児童婚や重婚を認めろと叫んだら、どうする?
 中国人が赤い封筒をばらまき、冥婚ができないのは差別と喚いたらどんな顔をするのかは見ものだ。

 一組の同性愛者な男女が釣りに行き、そこで金色に輝くランプを見つけた。
 それをこすると、たちまち煙があふれ出し、精霊が姿を現す。そして二人へと告げる。
『よくぞ私を見つけてくれました。お礼にどんな願いでも三つ、かなえてあげましょう!』
 直後、少年が叫んだ。
「まず、同性から魅力的に見られたい! つぎに異性愛者を絶滅させろ! そして全ての人間を同性愛者にしてくれ!」
 彼の願いに、精霊が呪文を唱えた。
『チチンプイプイ――』
 右手人差し指を掲げると、爪がまばゆく光り、空を包みこむ。
『はい、これで全ての男も女も、みな同性にしか欲情しません!』
 精霊は得意げに語り、続けて隣で黙っていた少女へと問いかける。
『で、あなたの願いは?』
 それに対し、彼女はこう告げた。
「まず、ベッドを一台。天蓋(てんがい)つきで。それに媚薬(ひやく)を一箱。あとは――ああ、そうだこいつを女にして!!」
 
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