第1話【宣戦布告】

文字数 1,136文字



今日は、僕の新しいママになる人が家に来るらしい。
楽しみだけど、ちょっとだけ心配。
僕には本当のママが居るから…
僕を産む時に死んじゃったみたいなんだけどね。
インターホンが鳴る。
モニターを見ると、父と女の人が映っていた。
開錠ボタンを押すと、2人が扉を開けて部屋に入って来る。
父『ただいま。こちらA実さん。ほら挨拶しなさい。』

こんばんは。

A実『こんばんは。B太君。仲良くしてね。』

A実さんの、どこか引き攣った笑顔に、少し戸惑った。

お腹空いた。そう父に伝えると

父『ビザを注文してあるんだ。お前好きだろ。ちょっと取ってくるから、A実と待っていてくれ。』

そんなの来る時に、取ってくれば良いのに…っと思ったけど、焼き立てのビザは大好物だ。
いってらっしゃい。

父『行って来る。良い子にして待ってるんだぞ。A実さんを困らせない様にな。』

A実と2人で、車に乗り込む父を見送る。

A実『寒いね。部屋に入ろっか。』

僕は軽く頷き部屋に戻った。

A実さんと2人っきり。
その状況に、少し恥ずかしくなる。
…僕、ピザが来るまで自分の部屋に居るよ。
そう言って階段を登ろうとした所だった…
A実『おい。ちょっと待ちなよ。』
えっ…
そこには、さっきとはまるで違う、陰湿な目のA実が居た。
ぼ、僕部屋に行くね…

A実『だから、待てっつってんだろ。こっち来て話そうぜ。』

僕は仕方なくリビングのソファに腰掛けた。

A実『あのさぁ。こう言うのは後々面倒だから、最初に言っとくね。』

僕は心臓の高鳴りを感じながら、次の台詞を待つ。

A実『私さ。子供とか嫌いだから。』

予想はしていたが、直で言われると辛い。

A実『でさぁ。私がアンタの父親と住んでも、あんまり関わって来ないで欲しいんだ。』

…でも食事の時なんかはどうするの?

A実『適当に部屋に閉じこもってれば、良いじゃん。お腹痛いとか言ってさ。』

でもそれじゃお腹空くし…

A実『一応、金だけ渡しておくからさぁ。ファミレスとかで、勝手に食えば?』

そんな…

A実『あとSEXする夜とかは、外の倉庫で寝るんだよ。』

SEXって…何?

A実『最近の5歳は、そんな事も知らねぇの?男と女が裸で獣みたいにさぁ…』

も、もういいよ!
分かったから…

A実『分かったフリしてんじゃねぇよ。これからが良い所なんだから。』

僕も後々面倒だからハッキリ言っておくね。
僕はアンタみたいな人が大嫌いだ!
なんでパパは、こんな人を…

A実『言うねぇクソガキ!こりゃ楽しくなって来たわ!』

絶対パパは騙されているんだ。
お前の本性を、僕がパパの前で暴き出してやる!

A実『やれるもんならやってみなよ。そんな事したら、どうなるか思い知らせてやる。』

僕とA実の全面戦争が始まった。

インターホンが鳴る。
そこにはグランサイズのピザを持った、笑顔のパパが立っていた。
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