遙かなる絆-ランナー第10回

文字数 1,293文字

遙かなる絆-ランナー第10回月への移動を妨害する、テロリストハンター、サムナーに向けてロードランナー、ヘルムは「マコトは新しい世界を生むための種子」と告げる。



遙かなる絆-ランナー第10回

地球防衛機構(EDO)シリーズ

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所




■遙かなる絆-ランナー第10回



 ムーン=ウェイ軌道の下が振動している。



そこに小さな穴が開き、やがて大きくなって機械の手が現われる。



グガーン。大きな地響き共に、全身が現われる。



戦闘用ロボットだ。それも外宇宙タイプだ。



「聞き分けのない奴らだ。そなれば、こちらも、力に訴えるさ」



 サムナーが叫んでいた。怒りに、顔はふるえている。



「心配する必要はないよ。ヘルム。僕は対ロボット戦の訓練も受けている」



 そう言うが早いか、マコトはテレポートし、ロボットの背後に回っていた。



彼の脳波は瞬時にこのロボットの内部構造をつかんでいた。



そして、その最も弱い部分を吹き飛ばしていた。ロボットは、EDOテロリストハンターのサムナーの方にズルート倒れかかる。



 「早く、ヘルム、彼のロケットを奪い取るんだ」エスパーのマコトが叫ぶ。



二人はムーン=ウェイ軌道から、作業回路へ出て脱出ハッチに向かう。



 後から、サムナーが、叫ぶ。



 「そういうまくいくものか!」



 ロードランナー、ヘルムとマコトは、脱出用ハッチを開け、宇宙服を着て、サムナーの乗ってきた作業用小型ロケットに辿り着こうとした。



 が、瞬間、ムーン=ウェイ軌道側壁がつき破られ、サムナーが再び、現われる。



二人の前でニヤリと笑う。



 「お二人さんに、ただでロケットを利用させると思うか」



 やにわに作業用小型ロケットは発進する。



ゆっくりと二人の前から遠ざかっていく。



「くそう、サムナ─め」

 瞬間、ヘルムとマコトは、再度、軌道内へテレポートしていた。



軌道上の今いた場所は白熱していた。



サムナーのロケットが、自動的に二人の居た位置にレーザービームを発射したのだ。



 「大丈夫か、マコト」



 マコトの顔は青白い。



 「大丈夫ださ、ヘルムさん。いずれにしても、もうロケットは使えないだろう。我々は、やはりこのルートを走らねばならない」



 再度のテレポートでマコトは疲労困然し、気を失った。



「マコト、しっかりしろ」ヘルムは大声をあげた。



 「サムナー、聞こえているだろう、サムナー、お前がいるのはわかっている! いいか同じサイボーグ同志という事で、俺のいうことを聞いてくれ。 マコトは唯の子供ではない。いいか、新しい世界を生むための種子なのだ」



 どこからともなくサムナーの声が響く。



「笑わすなよ、ヘルムめ。 筋肉ロボットめ 同じサイボーグだと。



きさまは単なる鉄と機械のかたまりにすぎん、ただ速度が早いだけの単細胞ロボットだ。



きさまがサイボーグなものか。



それにそのガキが新しい世界を生むための種子だと! 



笑わせるな。何をたわごとをいう。



そいつは単なる頭でっかちのガキにすぎん。



それに俺はEDOに属するサイボーグだ。現体制を変えるような、そんな手助けができるわけない。



そうだろう、ヘルム」



(続く)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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