第4話

文字数 505文字

彼の狂信が怖かった。
自分のそれを、知ってるから。
下手に刺激するべきではない。
しかし、僕は黙っていられなかった。
具体的に、いつ、どこで、どんな風に神様に会い、かれはどんな姿をしていたのか?
もともと彼はキリスト教の家庭に育ち、その教義には懐疑的ながらも、彼が母親を裏切ったのは電話でのお祈りを一度だけサボってしまった事という程度の信心深さはある事。
どうやら彼のボードゲームは、世間一般に受け入れられそうもない事。
そして、彼が何かを信じたがっている事が察せられた。
彼を降ろす間際、まくしたてる。

「あなたが信じたがっているかみさまは、居ないんじゃないかな?、きっと、あなたの中に居るんだろう。違うモノを、神様にしたら、どうだろうか?たとえば、恋人を作るとか。そんな、ごく普通の事が、物事を少しずつ良くして、あなたを救ってくれるんじゃないかな?あなたが献身すべき神様は、もっと確かに実存して、あなたもそれに気付いてるはずだ」
親子程の年齢差。
返答も待たず、走りだす。

「どの口が、誰に言ってんだか」
どんよりと曇った気持ちのノロマを乗せて、のろのろと来た道を引き返す。
その後ろには、また渋滞が。
どこ行くだろか?
ゆっくり、走る。
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