レヴィアタン(リヴァイアサン)の話

文字数 1,836文字

 *以下の文章は僕の個人的な意見です。不愉快になりましたらすみません。


 これは旧約聖書『ヨブ記』に関するお話である。

 ひとと話していて、日本国憲法の話になった。それは要するに改憲の話の文脈で、だ。
 僕は言った。
「日本国憲法は、マッカーサー草案がほぼそのまま採用されて出来ましたよね」
 すると、相手はこう返した。
「日本人がそれを受け入れて、〈自分らでつくった〉のが日本国憲法だ。よくお仕着せ憲法と呼ばれるが、そうじゃないんだ」
 まるで僕が無知なガキで、確かに無知なガキなのだが、これに関して僕は、本当はこう言い返したかったのだ。
「自分らでつくった、というには、恣意的にころころ改憲しちゃうことが出来る〈実績〉をつくってしまうきっかけを与えてしまうのは、良くないのではないか。時事的に世界と照らしてかみ合わなかった、くらいの理由で改憲出来ることにしちゃうのか。日本の外交が下手なのと軍事力は無関係だし、それ言ったら自衛隊の予算はほかの多くの国の軍事費より多いらしいですよ。法律の上にある、最高法規なんじゃないですか、憲法は? ほかの総てのやり方がダメなとき、はじめて改憲の必要性を考えるのがスジでは? 憲法ってどういうものだか知ってますか? 〈最高法規〉ですよ?」

————第九十八条 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。

「最高法規がころころ変わるきっかけをつくってしまうのですか? 〈リヴァイアサン〉のがんじがらめの鎖を緩めてしまうことになるのではないですか?」
 そう、言いたかった。
 ホッブズは言う。「国家はリヴァイアサンである」と。

————リヴァイアサンとは、『旧約聖書』の「ヨブ記」41章に出てくる怪獣の名前で、神を除き、この地上において最強のものを象徴したことば。 ホッブズによれば、この最強なるものとは、人々がその生命を守るために契約を結んで設立した政治共同体=コモンウェルス(国家)を意味した。

 このリヴァイアサンという〈国家〉をがんじがらめに縛って暴発しないようにするのが〈憲法〉である。憲法は、国民のために、国家が暴発しないようにつくられたものだ。それを忘れちゃならない。

 この世界に〈市民〉が生まれたのは、市民革命が起こったからだ。それまでは偉い人の所有物みたいなものだった。
 だが、日本はギロチンも流血も経験しないで市民ということになった。だから、「〈人権〉があるのは当然」だと思っている節がある。
 本来、人権は、〈勝ち取ったもの〉である。あり得ないほど多く血が流れて勝ち取った。だから、人権は尊い。
「日本人が日本国憲法をつくった」のならば、矜持が、プライドが、憲法を掲げる誇りが、そして〈理想〉が詰まっていなければならず、だとしたら憲法を変えてしまう風にみんなが思っているのは、つじつまが合わない。「日本人は自国の憲法にプライドがないんだね!」と言われてしかるべきであるし、否定できないはずだ。

 だが、憲法の〈成り立ち〉のことを考えた結果で、改憲するというなら、それも良いだろう。
 だけど、本当は反射的になんか言ってて、〈憲法の重さ〉、つまり〈リヴァイアサンの強さ〉を軽んじているのではないか? 違うか? どうなんだ?

 近くの国がミサイルを撃ってきているのは、「おれたちはなにするかわかんねーぞ」というタイプの〈外交カード〉としても使用していて、日本もこの国に援助金を出していた。出しつつ、ミサイル撃たれてりゃ世話ないぜ。
 外交が下手なら、それこそ教育の失敗が齎したものだ。まずは教育者を名乗るものを全員ギロチンにかけろ。
 学歴も金も才能もなにもない底辺の僕が言えるんだ。みんなも、よく勉強してから考えてくれ。
 ウィキから書き出そう。

『ヨブ記』41章によれば、レヴィアタンはその巨大さゆえ海を泳ぐときには波が逆巻くほどで、口から炎を、鼻から煙を吹く。口には鋭く巨大な歯が生えている。体には全体に強固な鎧をおもわせる鱗があり、この鱗であらゆる武器を跳ね返してしまう。その性質は暴君そのもので冷酷無情。この海の怪物はぎらぎらと光る目で獲物を探しながら海面を泳いでいるらしい。本来はつがいで存在していたが、あまりにも危険なために繁殖せぬよう、雄は殺されてしまい雌だけしかいない。その代わり、雌は不死身である。

 こいつを相手取って行うのが改憲だと言うことを忘れずに。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み