7 現代文明の課題

文字数 1,234文字



技術なくして文明の発展なく、
政策なくして健全な発展なし。
両者は相伴って、文明発展上の
様々な課題を解決してきました。

技術が進めば社会活動は拡大・複雑化し、
争いを生む社会課題も増加します。
すると政策が、技術の助けを借りながら、
それらを予防・解決していくのです。

しかし政策は、ある技術水準において
利害調整を極めると、その限界を超えるべく、
次世代技術の導入を促して、
新たな文明段階への移行を図ります。

英国の産業革命、米国の情報革命のように、
そのような技術革新を成し遂げた国が、
これまでも世界を先導(リード)してきました。
これが文明発展の循環(サイクル)です。

しかしそれは同時に、
文明の拡大の過程でもあるので、
今後は事実上の〝世界国家〟における、
足並みの揃った発展が期待されます。

農耕は文明を生み出し、
動力機関は文明を世界に拡大しました。
電算機(コンピュータ)は、地球という、
空間的限界への到達による衝撃を和らげました。
とはいえまだ人類は、文明活動の
時間的持続までは見通せていません。

いま人類は〝作って分けて、上げたら活かす〟
4つの分野全てで政策課題に直面しています。
それは地球環境の限界、
経済・社会活動の複雑加速化、
経年・経代的な健康水準の低下、
政策の巨大化と分権化の要請です。

第一に、地球環境の限界はもちろん、
技術的政策での、資源・環境問題につながります。
限られた地球環境内で、枯渇性の資源や、
環境内の他資源を損なう資源を使っていると、
文明の発展が続かないということです。

第二に、経済・社会活動の複雑加速化は、
景気過熱(バブル)や不況、格差拡大の危険(リスク)を生じ、
経済・社会政策における再投資と再分配の両立、
いわば次の収穫のための種籾(たねもみ)と、
皆で分ける食用米(しょくようまい)の配分における、
均衡(バランス)の確保を難しくしています。

第三に、生活や医療水準の向上は逆説的にも、
高齢化や私のような虚弱者の増加など、
経年・経代的な健康水準の低下を招いており、
そこには社会的健康の問題として腐敗や衆愚化、
蛸壺(たこつぼ)化、分極化、教育の困難化も含まれるなら、
人的資源(保健・教育)政策の課題となります。

第四に、経済・社会活動の拡大や複雑加速化は、
必要とあれば大勢が動くが、衆知も活かす、
という政策も必要とさせます。
すなわち国際化と民主化や官業開放、人権増進など、
政策の巨大化と分権化を同時進行させる必要性、
という行政管理政策の課題も生じています。

実は本来、生きることとは持続であり、
広い世界で多くの国々が争う時代には、
もしかすると別の意味での持続可能性が、
あったのかもしれません。

資源不足や格差拡大が起きたら、
植民地開拓やそれを(めぐ)る戦争で解決され、
その中で私のような虚弱者や、
遅れた制度も淘汰(とうた)されました。

しかし今では生活向上への期待が高く、
地球は限界が見え、世界も一体化しつあり、
災害、疾病、戦争などの淘汰による、
犠牲や損失(ロス)費用(コスト)危険(リスク)は大きすぎます。

そのため〝作って分けて、上げたら活かす〟
4つの政策全てにおいて、
より本質的、根本的な持続可能性が
求められているのだと思います。
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